第2回 絞り染めの工程(その1)

カテゴリー:

前回絞り染めの歴史について全般的な話をさせて頂きましたが、今回から具体的な工程について順次解説させていただきます。一口に絞り染めといっても実は長い歴史の中で数え切れないほどの技法が考えられ、現在普通に使われているものでも十指に余ります。

それを一つずつ解説するのは少しばかり骨ですので、あくまで京鹿の子本疋田絞りにそれこそ絞り込んで話をさせていただきたいと思います。まず全般的な工程を先に述べますと次のようになります。デザインも決まり、生地(絞りの場合、ちりめん、綸子、朱子を良く使います)も選定された後ですが、下絵→下絵型彫り→下絵摺り込み→絞括→漂白→染め分け→糸解き→湯のし→付帯加工→上げ絵羽 簡単に言えばこうなります。

それでは順次その流れに沿って解説いたします。まず下絵ですが、総絞りと部分絞りとではまた違うのですが、たとえば私の作品の中で振袖の場合、後で刺繍や金箔加工をしますので、友禅の下絵やさんの描いた柄の中でどの部分にどういう技法でどの程度の絞り加工をするかを決めます。

絞りをする場所が決まったら、その部分を紙に線描きをし、どれだけの大きさの粒を絞るか(これが高級品かどうかの一つの尺度ですが、物によっては細かければいいというものでもありません)決め、その大きさの粒の型で紙の下絵の部分に刷ります。これが絞りの場合の草稿になります。

絞りの粒の大きさは一尺の幅の中にどれだけの数を絞るかということで例えば<46たて>というと一尺幅(鯨尺ですから約38cm)に46個の絞りをするという大きさです。これは大して小さなものでなく、最高60くらいまでありますが、あまり小さいと絞りとしての効果がわかりませんので、絞りの兵児帯ぐらいにしか使われません。一般的に表地には46から50位までです。

sitae1.jpg

下絵型彫り

草稿が出来上がると、工程写真のように生地に刷り込むための型彫りをします。今では伊勢型のような型紙は使わず、固いナイロンのようなものを草稿の下に当てて、絞りの粒に応じた鏨(たがね)で彫っていきます。これが下絵型彫りです。

 

 

 

 

sutae2.jpg下絵摺り込み

それができるとその型を使って、生地の上に絞りをするところに摺りこんでいきます。これには版画で使うバレンに似た道具を使います。これも写真を見たいただければよくわかると思いますが、生地の下絵からずれないよう丁寧に摺りこみます。これが下絵摺り込みです。

 

 

 

 

 

これが絞りをするための前段階としてとても重要な仕事です。決まりきった型などを直接生地に摺り込んでいく場合も(そのほうが多いのですが)ありますが、複合加工としての絞り加工にはこの絞りの下絵やさんの技が実に難しく且つ大切です。後の仕事がやり易いように、また絞りあがった効果がどのようになるかを考えながら型を彫り、摺り込むわけですから、相当な熟練が必要で、特に高級品を扱える職人さんは相当高齢化しておりまたここでも後継者がいないというのが実情です。今回はここまでにし、次回本当に絞る作業について解説させていただきます。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.taizou.jp/mt/mt-tb.cgi/91

コメントする

月別 アーカイブ