第3回 絞り染めの工程(その2)

カテゴリー:

先月お話したように絞りにも下絵の工程があり、実際に絞るところをマークしないと次のいわゆる絞る工程に入れません。さて実際に絞る作業ですが、絞りの技と言うのは、実に多く、長い歴史の中で次々と創作されてまいりました。

ざっと挙げると、本疋田、針疋田、唄、中帽子、平縫い、笠巻、小帽子、三浦、折縫い、蜘蛛、等まだまだあるのですが、とても一々解説できません。絞った後どうなるかは、このシリーズの最後に写真を掲載するつもりです。

ここでは代表的かつ最も手間のいる、本疋田絞りを取り上げます。この技法は道具を使わず指先だけで絞り上げます。生地をつまんで絹糸で8回以上巻くわけです。ちなみに4回程度の粒の大きいものには綿糸で巻くのが普通です。巻く回数が多ければそれだけ染まらない白場が多くなり、鹿の子がきれいに表現されますので、美しく見えます。当然高級品と言うことで、こうしたものは大体12回くらいまくようです。具体的には

1. 粒をつまむとき布を斜めに延ばし、4つに折る。
2. つまんだ粒を右手前のほうへ少しねじるようにして戻して先に絞った粒と直角に開くようにする。
3. 意図を根元から上へ順に4ないし5回巻く。
4. 最後に2回括る。

こうした工程を繰り返し繰り返し一粒一粒括っていきます。生地は平綸子が一番絞りやすいのですが、中には紬の生地もあり、生地が肉厚だったり硬いと大変です。総絞りなどではその数は万の単位ですので大変な時間と根気が必要とされます。ですから近年大変重い仕事は中国で生産されているものが多いのです。

勿論日本でも生産されていますが、価格的には10倍ほどの差があり、はっきり言って国内産は苦戦です。ただ複雑なものは中国で絞るには指導も大変ですので、柄の中の絞りや、軽いものは日本で生産しております。ただ都市部では労働力がなくいわゆる田舎で女性の内職のような作業が多く、この先の生産がどこまで続けていけるのかは、後継者の育成にかかっているのですが、他の技と同じで大変危機的状況といわざるを得ません。

絞りには多くの技があると言いましたが実はその技の伝承が去れずに消えてしまったものも本当に多くあるのです。各生産地は技の伝承のため色々と努力はされているのですが、いかんせん若年労働力の不足でままならないようです。いずれ重い仕事はすべて中国と言う時代になってしまうかもしれません。

どうも仕事の話を書くたびに暗い話になってしまい恐縮ですが、紛れも無い現実ですので、もっと国や行政がこのことに対しつまらない補助金を出すと言うようなことではなく本腰を入れて技の伝承を考えてもらいたしものだと思います。 

kotei.jpg

                                                                                         

高橋泰三(本名 洋文) 敬白

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.taizou.jp/mt/mt-tb.cgi/92

コメントする

月別 アーカイブ