中国の生糸

カテゴリー:

昨日京都に帰って、夜に早速早めの忘年会が一つありました。
業界の人ばかりですが、良い話はありませんし、みんなもう辞めたいとか、やりがいがない、面白くないという話ばかりが聞こえます。
特に加工関係は総じてみんな赤字です。昨日は精錬の会社の社長の話を聞きましたが、どこまでやるかは保証の限りではないということでした。こういうところは、それなりの大きな地所をもっているので、マンション経営などに転業していくことを考えています。

仕事量の激減状況が長く続くと、本当に辞めて行く人は加速度的に増えるでしょう。

しかし今日聞いた話はもっと深刻です。

日本のキモノの絹はほとんどが中国から輸入されたものです。

国産のものは品質が悪くていい生地には使えないということ、コスト面でも何倍も高いのです。
今は補助金が出ていますが、その期間が終わった後は、続けて純国産糸を使ったモノづくりは激減するだろうと思います。ですから、中国をはじめとした海外からの輸入に頼らざるを得ないのです。

泰三の生地はほとんどが長浜の高級品ですが、これを織る糸はブラジルから輸入されています。現在最も安定した高い品質なのだそうです。

しかし普通品はほとんどが中国ですし、量的にも圧倒的です。

ところが昨年あたりから、その中国が生糸価格を相当値上げしてきました。それだけでなく、日本へ輸出する生糸の量自体もとても減ってきているとのことです。そして質も落ちているとのことです。

これはリーマンショック以降の需要低迷で、中国でも養蚕農家が大幅に減っていること、中国向け製品の生産に絹が相当つかわれていることなどで、ただでも需要が低迷している日本向けの生糸の輸出を減らしているそうです。

大手の糸商も、中国からの糸が入ってこなくなる可能性さえあると予想しています。

私が以前から予想していたことですが、いよいよ原料関係の供給がタイトになりつつあるのです。

この数年大変安価なモノづくりが増えていましたが、生糸価格の高騰や量的にも需給がタイトになり、相当こたえるだろうと言われています。

原料価格のアップを価格転嫁できないモノは生産が止まってしまいます。
流通業者もそうした事情を考慮して、メーカーを叩きまくって自分だけは暴利をむさぼろうというようなことをしていると、商品が残り物くらいしか回ってこなくなります。

売り手がもっと作り手に対する配慮をしない限り、この業界は終わってしまいます。

そういう可能性さえ見え始めてきているのです。

消費地の呉服屋の中にはいくら産地の実情を訴えても、どこ吹く風の人が多くて、これでは産地が救われないという思いですし、消費者にも良いものが益々届かなくなります。

真に消費者目線の商いがこの業界はいつになったらできるのでしょうか。

愛染蔵、たけうち倒産以降も、大手問屋の姿勢は何も変わっていませんし、もっとひどくなっています。

本当に良いものを、価値ある価格で提供できる真の商いの実現に、本当に苦労してほしいものです。楽に儲けようなどという商売人は辞めてほしいのです。またそうさせようという問屋もいりません。

三方良しの商いの実現に骨を折るものだけが残ってほしいと心から願っています。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.taizou.jp/mt/mt-tb.cgi/734

コメント(4) | コメントする

生糸が中国では投機対象にもなっているという話も聞きましたが。
消費者もなかなか着物を新しく作りませんし作れません。私も仕立て替えばかりで新しいものを買っていないのですが。

二条様

当然だと思います。これからも消費が急激に増えていくなどということはあり得ないでしょうから、原料関係で多くの問題が出てきます。つまり作れないということです。

これほど業界規模が小さくなっているのにもかかわらず、流通構造が改善されず、作り手への付加価値の配分額が少なすぎるということが大問題です。

これが解決できない限り、辞めていく人が増えるでしょう。あるいは産地からどんどん消費地へ攻勢をかけてくるでしょう。

正しい商いをしていない流通業者や、それにつるむとんでもないものを作ってる作り手もいずれ飛ばされしまうことになる思うのですが、それまでに真面目な人のほうが先に辞めていくことが考えられます。

この経済状況が続くと、上物の生産はあと何年ということになりそうです。

ブラジル産の上質の生糸は、藤村製糸のものなのでしょうか。かって品質では日本一を誇ったという愛媛県の藤村製糸ですが、操業を停止してからブラジルで操業を始められたとききましたが・・・・・・・、日本の技術がまた一つ海外へ出たということでしょうかねえ。

高知県の藤村製糸のことだろうと思いますが、かつて大変いい糸を作る製糸工場として名を馳せていましたが、国内の絹の消費量が激減して、ついに平成17年に操業を停止しましたが、ブラジルのカネボウが持っていた製糸工場を買い取って今はそちらでわずかな生産を続けていますね。
ブラジルにはブラタク社という製糸会社が古くからあって、養蚕からの一貫生産で、ここの糸が最も質が高いと言われており、当社の生地の経糸はほぼすべてここの糸を使っているようです。
現在ブラジルでも製紙はこのブラタクと、後発のフジムラの2社しかありません。

生産量も最盛期の半分もなく、もしこのブラタク社が廃業すると、日本の高級な白生地の生産には大きな影響を与えます。

特に浜縮緬に影響が大きいと聞いていますが、そうしたことを心配しないといけない事態がすぐ目の前に迫っているのです。

コメントする

月別 アーカイブ