阿古屋

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海老蔵事件の余波で、1月のテアトル銀座の歌舞伎公演が急遽玉三郎丈の特別講演に替りましたね。

海老蔵さんのことには食傷気味ですが、今度の公演が阿古屋だというので興味深いのです。

歌舞伎の通の方はよくご存知でしょうが、この阿古屋という役は女形の難役です。
戦後も六代目歌右衛門さんが演じた後は、玉三郎さん以外はだれも演じることができません。

通称阿古屋の琴責めといいますが、琴、三味線、胡弓の三つを舞台で演奏しなければなりません。

私が以前の玉三郎さんの舞台衣装を製作させていただいたおり、この人の舞台姿を今一度よく見てみようと思い、一時期追っかけをしまして、この阿古屋が講演されたのが下関でしたので、行って観てきたのを思い出します。

この時に楽屋で色々お聞きしたのですが、玉三郎さんはこの演目にはそれなりに思い入れもあるでしょうし、実際彼しかできないのですから、取り組む姿勢も半端ではありません。

京都五条坂一の傾城の阿古屋は景清の恋人で孕んでいるのですが、その景清の行方を詮議する重忠に問われても白状しようとしないので、箏(こと)、三味線、胡弓の三曲を演奏させ、その音の乱れで嘘を見破ろうというのです。

三曲を奏でながら、景清との出会いから別れまでを切々と語り唄います。

最後はその心情に免じて阿古屋は許されるのですが、三曲のプロ同然の演奏が要求されますから、彼も歌右衛門さんから演じる許しが出るまで、本当に大変な苦労をされたようです。

何事にも完璧主義の玉三郎さんは、その傾城の衣装から、箏、三味線、胡弓まですべて自らのもので演じられます。

私が下関で見せていただいたときに、あまりにも音が美しいのでお聞きしたら、やはり相当高価な楽器でした。

良いものを買えば買い替えることがなくて済むといわれて、確かにその通りですね。

ちょっとお値段は言いませんが、かなりなものであることには違いありません。

ちなみに胡弓というのは、中国の二胡とは全く違うものです。三味線を小さくしたようなものを、弓で奏でます。

歌右衛門さんから玉三郎さんにバトンタッチされたこの役は、次の人が現在見当たりません。

立女形を張るには、どうしてもこの役ができないといけません。
それがまだ決まっていないということが心配されているのです。

この芝居は、玉三郎さんも疲れるでしょうし、滅多にかかることがないのですが、今回急遽ということで、玉三郎さんは本来1月お休みされるところを正月早々からの舞台で、大変疲れられると思います。
現在南座でも公演中ですからお稽古もままならず、きっと京都で芝居が跳ねた後稽古されていると思いますが、心配ですね。

それにしても松竹は商売上手というか、この阿古屋と長唄舞踊の女太夫の二本立てで、1等18000円です。海老蔵は昼夜、3本ずつで15000円でしたから、まあ格が違うとはいうものの、ちょっと驚きです。

阿古屋は、まあ一度是非ご覧になってみてください。

この役のむつかしさがお分かり頂けると思いますし、玉三郎さんの魅力に虜になられることでしょう。

ただ相手役が獅童というのがいただけませんがね。この重忠という役も結構重いものですし、それなりの貫録や風格が問われますし、彼ではちょっと軽いのではないでしょうか。

まあ1月にスケジュールの空いている人ということで彼に白羽の矢が立ったのでしょうか。

どちらにしろ色々人騒がせなことですな。

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玉三郎さんが演じられる壇浦兜軍記の阿古屋は、13年前のお正月に国立劇場で
演じられたのが初演と思われますが、現在の中村勘三郎さんが勘九郎だった時に
秩父庄司重忠を演じられた時の映像をDVDの映像で拝見したことがございまして、
見るからに重いと思われる衣装と、琴・三味線・胡弓の生演奏も在り立女形で最も
難しいと言われるこの演目を今回は成田屋の御曹司に代わり、ル・テアトル銀座で
特別公演をなされることになりましたがチケットはきっと入手困難でしょうね。
この演目は六代・歌右衛門さんが演じてそれを玉三郎さんが受け継いだ訳ですが、
歌右衛門さんが自分の芸を封印することなく玉三郎さんへ伝授なされたように今後
還暦を迎えた玉三郎さんが誰にこの阿古屋を伝授して誰が玉三郎さんの後継として
次代の立女形を背負って行くのか? 泰三様が次の人が見当たらないとおっしゃる
ようにファンの方々も注目なさっていらっしゃることと思われます。

風天様

この役は三つの楽器の演奏をプロ並みにできるためのお稽古が相当な期間要求されますし、また玉三郎さんの許しがないとできないでしょうから、彼自身が誰かを指名しない限り、この役は彼が死ぬまで誰もすることはなく、そしてそれ以降も当分演じられることはないということになるでしょう。

ですから玉三郎さんが誰に継承させたいのかということにかかっています。言い換えれば次の立女形は誰かということですので、なかなかに難問ですね。

玉三郎さんが持つこの衣裳も見事なものですよ。

泰三様
ル・テアトル銀座での玉三郎さんの特別公演ですが、チケットは一般分が発売から
1時間以内で全て完売したそうで、皆さん阿古屋に注文なされて居るのですね。

松竹は本当に商売上手ですね。
でもまあ次に阿古屋が見られるのは大分先になりそうですし、一度は見ておきたいですね。

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