文化に人は集まる

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今日の毎日新聞のコラムに、公邸料理人の話が出ていました。
全世界の日本の大使館公邸などで調理をする専門家ですが、フランス料理と日本料理が作れることが最低条件らしく、かつてはすべて日本人で、それもホテルの調理人とかが多かったようです。
これは聞いた話ですが、かつての外交官はいわゆる良家の御曹司のような人が多くて、そういう人はホテルオークラなどに小さなころからよく飯を食いに行っていたりするので、
そのボンボンが海外赴任などというと、料理人をホテル側から出してくれたというのです。今はもうそういうことはなくていわば渡りのプロの調理人が多く、特にその大使や総領事と人間的なつながりがあるということはありません。

その公邸料理人は150人ほどだそうですが、当然治安の悪いところとか生活条件が厳しいところにはいきたがりません。
それでは料理人が不足するので、何と現在ではそのうちの28人がタイ人だそうです。
今から17年も前から、バンコクでその育成事業をを始めたそうです。

バンコクには日本料理店が多いので、日本料理の基礎を知るタイ人が多いこと、国民性が穏健であることなどから、ここにその育成事業の本部を置いて、
日本の調理師専門学校から派遣された教授が3か月間みっちりと日本料理を教えるそうです。

今まで延べ127人が日本の公邸料理人となっていったそうです。

さて在外公館では必ず現地の人を招いたり、来賓に日本料理をもてなすのですが、
この料理が美味いと、正直なもので日本公邸に来る人の頻度や質も上がるのです。

当然料理には酒もつきもので、ワインのほか日本酒も貯蔵してあります。
酒を飲んで和気藹々となって話すことで、その国に大変大きな影響力を持つ人と親しくなり、外交上大変有利な情報を得られたり、政府要人とのパイプを太くできたりします。

ですからその料理人の役割も小さくないのですが、これはいわば日本文化を発信していることに違いなく、その水準が非常に高いということは世界のすべての人が認めるところでもあり、そうしたところに人は必ず集まります。

外交官が果たしてそうした意識を持っているかはわかりませんが、世界中の在外公館は日本文化の発信拠点であるという事実に変わりなく、その館の主は当然高い美意識や見識を持ちあわせ、日本文化の秀逸さを啓蒙、発信すべきだと私は強く思っていますし、そのことが、現地の知識人、文化人と良好な人間関係を構築し、それが大変な国益を生む可能性があるのです。

ですから外交官自身が、日本の歴史や文化をよく知る文化人であるべきだというのが私がいつも訴えていることで、在外公館でのパーティーでキモノを着るのは当たり前のことなのに、最近はキモノを持たないで行くとか、茶道や華道の心得も何も無い夫人がいるとか、聞き捨てならないような体たらくです。

日本の外務省役人に和文化の教養がないなど国辱物の大恥です。
私も何人かの官僚にそういうことを言うとみんな耳が痛いと逃げ回るだけで、その通りだと思って勉強する人はほとんどいないという有様です。

外務省役人だけでなく、官僚全体に文化教育や検定をしろと私は民主党の政治家にも前から言っていますが、相変わらずの無芸大食、無教養集団です。

文化が人を呼び、金を生むことをもっと有効に考えれば良いのですがね。

これはキモノ業界にも言えることで、各産地は今大変な状況ですが、そのモノづくりは紛れもなくその土地の文化ですし、行政とタイアップしてその土地の固有文化としての発信をうまくすれば観光とタイアップして人を呼べるのでは無いでしょうか。
そうすればそのモノづくりに対しての消費者の理解も深まり、需要も出ると思います。

本来それを任してきた専門店やデパートなどの力が極端に落ちているのですから、産地が自ら知恵を出して動かないと、本当にモノづくりは終焉を迎えてしまいます。

もちろん文化としてもモノづくりを理解してくれる行政マンや地元の政治家がいないと困りますが、窮すれば通ずと思い、できることから一歩進むことです。

この政治状況では、来年はもっと厳しい事態が考えられますし、危機感を共有して産地が行動を起こすべき時です。特に若い人の一段の奮起を促したいものですね。

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