癒しの建物

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先日首相官邸の真隣に新築なった、ザ・キャピトルホテル東急に行ってきました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%94%E3%83%88%E3%83%AB%E6%9D%B1%E6%80%A5%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%AB

もともと一昔前は、東京ヒルトンホテルで、ビートルズも宿泊したところです。ヒルトンと契約で揉めて、昭和59年からはキャピトル東急ホテルとして営業していました。

4年前に老朽化から建て直すこととなり、今年の10月にオープンしたばかりです。
29階建の東急キャピトルタワーのキーテナントとしてホテルも入っているのですが、
オフィス、レジデンスも同居しているビルです。

真四角のビルで、まあいわば近代的とは言えますが、ちなみに設計は隈研吾という今売れっ子の建築家です。
根津美術館、サントリー美術館も彼の設計です。

彼の設計は大変シャープなイメージのものが多く、いわば直線の美ともいえるものです。
ご多分にもれずこのビルもまあ何から何まで角角としています。

色彩も濃いグレーとベージュを基本としています。

この人の建築は角張ったところが多いので、笑いながら良く怪我をすると言っていた人がいましたが、実際そういう印象はぬぐえません。

私自身は木造の日本建築などを強く愛するものですので、こうしたクールな建築物は好みません。安藤忠雄氏のコンクリートのむき出しのものも好きになれません。

作っているものがものですので、特にそう思うのかということもありますが、丸味のない設計は何か疲れますし、癒しがありません。

ただ彼の設計は正倉院の校倉造をほうふつとさせるものがあり、もしかしたらそうしたことをイメージしているのかもしれないとは思いました。

他の建物にも共通しているのは、グレーが基調になっており、西洋の石造りに和のテイストを加味したものというのが基本理念なのかと勝手に思っています。

しかしその割には木材そのもののことを知らないのではないかと思いますし、このビルの木に見える材質そのものは非常に安っぽく感じました。

東京の建物は、どうも最近ほとんどこのビルと同じような直方体の塊のようなモノばかりで、横に並べたらどれがどのビルか全く区別がつかないほど同じようなビルのばかりです。

まあ東京だからそうした建物も許されるのかもしれませんが、この設計家が有名だからと言って山形県のある老舗温泉宿が彼に設計をさせたところ、そのひなびた温泉場とは似ても似つかわしくない、いわば場違いなものを作ってしまい、しかも大変高級化して、かえって客が来なくなり、その多額な改築費で、倒産してしまったところがあります。

このことからするとこの建築家がその地の文化をよく理解していなかったのではなかったのか、その宿の主が、有名な建築家が設計したからと言って話題で客が来ると勘違いしたのか(実際宿泊費もすごく値上げしたそうです)、それはわかりませんが、
建築はその土地になじむものであってほしいと思います。

私の京都の住むところも昔は木造の数寄屋造りなどが多数ありましたが、代が替り、住む人が替ると、次々とそういう建物が壊され、実に安っぽいプレハブ住宅ばかりになってしまいました。

今京都の本社が使っている数寄屋造りは40数年前に建てられたものですが、今の大工さんが感心する難しい仕事と、今ではもう国内にないような良い木材が使われており、いまだに一寸たりとも狂っていない見事なものだと言われており、手入れをすれば200年、300年と使える家だそうです。

これは一種の文化遺産でもありますし、私が死んだあとでも残ってくれるような何か対策を講じておかないといけないなと思っています。

建物には人の気持ちを癒してくれるようなスペースがあってほしいものですが、このビルはホテルとしてのエントランスの部分は極端に狭く、豪華さもなく、部屋は広いようであっても、共有部分をできるだけ狭くしてあるので、何か高級マンションのような感じです。オフィス、レジデンス共有ビルということでそうなっているのかもしれませんが、大変中途半端な感がまぬがれません。
宿泊料が、最低65000円ということで、帝国、オークラよりも高いという設定です。

その戦略がうまく行くのかは私にはよくわかりませんが、相当な金額であることには違いありません。

ただレストランの料理を出すタイミングがとんでもなく遅くて大変不快な目をしましたしもう2度と行くこともないでしょう。

私に言わせると、まさに文化をこれっぽちも感じないビルでした。これは先日見に行ったコレド室町も同じです。
有名建築家を使えばいいというものでもなく、もっと美意識をもってモノづくりをしてほしいものです。
その点はオーナー経営者ばかりの上海のほうがはるかにお洒落なビルが建っています。

一番金になるビルということで、無駄なスペースをできるだけ省いて、貸せる面積の大きい真四角のモノを作るのでしょう。

効率1点張り、頭にあるのは金や利益のことばかり、文化など無視した建物の氾濫が最近特に目立つ東京です。

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泰三様がおっしゃいます通り、近年の東京では千代田区・中央区・港区などで
再開発が行なわれ新しいビル群などが建設されるなどこれまでとは異なる街の
風景が見られるようになりましたが、中には違和感を抱くようなデザインの建物が
建設されるなど泰三様がおっしゃいますようにこれ等は東京だからこそ許される
事だと考えますが、ただ設計者の方には設計者の自己満足を表現するのではなく
街並みや周辺の環境と調和するようなデザインを考えて頂きたいと望まれます。
京都も地域によってビルが建ち並んだり、東京の住宅街と変わらぬ家が在ったり
古い町家の家や木造の家や建築物がございますが、東京のように古い物を壊して
新しければ何でも良いと言う考えと異なり、良いものは良い残すべきものは残し
守り維持する為に努力なさったり規制をかけるなどされて東京もその点は見習う
べきと考えますが、その京都でも京都駅の駅ビルなど拝見致しますとこの建物が
古都に相応しいものなのかどうか?京都も商業やビジネスが主となる地域などは
東京のようになって行くのではないかと想像されます。


風天様

京都駅の問題は根が複雑ですので、また改めてお話ししますが、実際京都は近年地方からの業者にずいぶん荒らされて、京都らしくないものがたくさんできてしまいました。

これは東京でも同じですが、役人に美意識がないので、高さとか容積とかの規制だけで、デザインの統一性などなにもありません。

東京は街づくりのグランドデザインが行き当たりばったりで、つまらないビルばかりが次々建ちあがり、街の美観は損なわれる一方です。まあそんなこと考えたこともないのかもしれませんが、今のままなら完璧なオーバーキャパですが、走り出したら止められない役所のような企業が多いので空室率は上がる一方でしょう。

銀座でも銀座の美観とは何かを真剣に考えてこなかったから、本当に何でもありの渾然とした街に変貌してしまいましたし、もう二度と昔の銀座には戻りません。

地方都市も東京資本が入ってくると、その文化が壊されるケースが多く、自らが大切にすべきものは何かをよくわきまえておくことが肝心です。
そのためには常に勉強、勉強ですね。


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