組織はトップ次第

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私は大学を出てもう40年になります。

大企業サラリーマンへの道を選ばず、父の後を継ぐことを決断したので、修行中に問屋に勤めた以外は、多くの友人たちとは違う道を歩いてきました。

私のゼミの恩師は、経済界にも人脈が広く、電話一本で大企業に入れたような時代で、私が親の跡を継ぐと言った時には、ちょっと驚かれましたが、後悔はするなと言われたくらいで、特に反対もされませんでした。

それから40年、全く違う経験を重ねてきましたが、その友人たちもそろそろ次々と退職しています。

中にはいわゆる出世をしたものもいますが、私と決定的に違うのは、方や日本を代表するような大企業で、こちらは零細企業ですから、やってきたことのスケールは全く違いますし、私の業界のような超構造不況業種では、彼らの年収の方がはるかに高かったということはあるかもしれません。

ただそういうことと違って、私は最初から父の後を継ぐ、つまり次期社長が約束されて父の会社に入っていますし、父もそのつもりで、私を京都に帰らせたので、友人たちとはスタートの時点での、立場や考え方が全く違っていました。

私は2代目として継ぐこと、つまりは会社を継承することを前提としていますので、2代目で一番大切な仕事、つまりは父の遺業を伝え会社をつぶさないことが求められていましたし、父も当然そういう気持ちで私を入れたのですから、父には私を教育する義務があり、私は私で、色々な面で勉強することが求めらていました。

実際父は私にかなり色々な意味で投資してくれましたし、言葉は少ないですがやるべき道を示してきました。

非常に個性的な父の後を取るので、かなり難しいことは想像に難くなかったのですが、自分なりには研鑽を積んできたつもりです。

父の後当然私がトップになるわけですし、なる前もなった後も、色々なセミナーにも参加したり、そういう本も読んで来ました。

私の仕事は主にモノづくりだけに、感性を磨くということが重要ですので、単に経営学などを学ぶだけではありませんでしたので、美術館に行ったり、多くの画廊を覗くなどを習慣としましたし、お稽古事などにも熱心に通ったものです。

父が亡くなってはや25年ですが、その人生経験、勉強から得たことのおかげかどうかわかりませんが、2代目としては、父から託された会社を潰すことなく、日本一のキモノづくりという道の中で、いままで経営してきました。

我々の仕事で大事なことは、自らのセンスを貫くこと、同じことを飽きずに長く続けること、しかしセンスは常に磨いて、時代の変化、社会の要求するものを読むことなどなどで、

決して短期的な利益を追い求めることもなく、本業不調だと言ってよく知りもしない副業に手を染めることなどはしないことです。

そうしたことはやはり経験上から得たことが大きく、単に経営学や会計学などを学んだだけではわからない、つまり社会勉強で得たことが大きいのです。

昨年政官財での不祥事が大きく表ざたとなり、トップの見識を問われることが続発しましたが、その人たちは総じて、高学歴でいわゆるインテリです。

まあいわばエリートでしょう。

ところがそうした連中が不祥事を起こすのは、結局トップになった時に何をなすべきかということのトレーニングがなされていなかったし、なった後からの勉強が無くて人間的な成長が停まってしまったのでしょう。

功名心、保身、私心ばかりが先行し、自分の立場は何をなすべきかという常識がどこかへ飛んで行ってしまったのでしょうか。

謝ることもなく、責任を取ることもなく、いまだにその椅子にしがみついている姿は哀れそのものですが、若いときからの鍛錬が全くない男が、運がよくトップになった時に、まるで自分が偉かったように思い上がってしまい、優秀なものを遠ざけ、周りに茶坊主ばかりおいて、組織が腐っていくことなど全く意に介しなかったということです。

トップを目指すならトップに立つ要件を身に付けるような気構えを若い頃から持ってほしいものですし、真の親分になるためには多くの人の生き方を見て来ることです。

そしてとても大事なことは早く自分という人間の可能性と限界を知ることです。

私もあまり大きなことは言えませんが、自分が職人肌で決して実業家タイプでないことなどを早くから見切っていたので、バブルに染まることもなく、種々の辛い経験を越えて本業を貫けたのだろうと思います。

人の上に立つ器かどうか見極めもしないで手を挙げて、国民がひどい目に遭うなどとんでもない話です。

自らの器をよく知ることはとてもだいじなことで、ハッタリはいずれ必ず化けの皮がはがれ頓挫します。コツコツ長く続けることが京都人の仕事でもあります。

私の最後の仕事は、次世代にやってきたことを如何に伝えるかということですが、なかなか私の眼鏡にかなう者に出会えなくて(まあ眼鏡が曇っていたこともありますが)、呻吟しているこの頃でもあります。

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