14年連続マイナス

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過日の新聞報道で、デパート業界の販売統計が14年連続マイナスだと出ていました。

非常に深刻な事態ともいえますが、トータルの数字だけに、その間に何があったかというと、デパート業界の統廃合、支店数の減少、地方デパートの倒産廃業などなど、大きく環境が変わったので、この数字だけをもって簡単にデパートの凋落という風には結論付けはできません。

またデパート会社によっても、あるいは地域的にも相当な差があるので、ああだこうだと一概には言えません。

ただデパート業界を取り巻く環境は確かに大きく変化しており、流通業界全体はこの10年ほどで大きな変貌を遂げています。

1つのモノを売るのに、色々な手段、通り道が増えて、無店舗でもモノが売れたり、コンビニで売られるもののアイテムも増え、アウトレットモールなどという業態も出てきました。

まさにデパートはいわゆる百貨店として地域に君臨するというような悠長な状況では無いことは確かで、またバブル期の過剰な投資がたたって経営が傾いたところもあり、ご存知のようにいくつかのデパートが統合されました。

それぞれの企業の歴史や文化の違うところが1つの会社になるというのは大変難しいことで、しかも新会社にはそれなりに株主の目も厳しく、どうしても利益優先、効率化、リストラなどが先行し、多くの正社員が現場を去り、業態が大きく変化し、いわばビル貸業、ディベロッパーと似たような商いへ変化したように思います。

スパースをどんなテナントで埋めるかということに腐心し、売り上げ歩合のテナント収入などが主な収入源、あるいはまるまる建物ごとどこかに貸すまさに不動産業となっているような気がします。

まあ他のスーパーなども似たり寄ったりではありますが、デパートは本来小売業ですし、
この10年間で一番大事な、自ら売るという気持ちを忘れてしまったのではないかと危惧されます。

その影響を一番大きく受けたのが呉服売り場かもしれません。

アパレルなどは従来からメーカーのSPA戦略の中での売り場がデパートにあるという位置づけで、商品も販売員もすべてメーカーが揃えるという形でしたし、中にはデパートのプライベートブランドのコーナのあるところもありますが、総じてメーカー頼みで、面積割や売り上げ歩合のテナント収入を得ていました。

しかしいわゆる呉服系のデパートなどの呉服売り場は、従来は一部の小物などを除いては社員で販売していたところも多く、売り場にはたたき上げのベテラン社員がいたものです。

ところが、統合による効率化の波を受けて、そうしたベテラン社員が去り、その分デパート問屋が派遣する女性などが販売するということが徐々に常態化しつつあります。

地方のデパートで健闘されているところなどにはまだまだ社員で販売するというところもあるのですが、総じて多くのデパートではスペース貸しのような商いへ変化しています。

なかには呉服売り場自体が無くなるというところもあります。

呉服売り場はアイテムが非常に多く、販売知識も豊富に必要ですし、その割には昔のような来店客も少なく、いわゆる日銭が稼ぎにくいということで、縮小したり、店外での催事で売ろうということも多いので、そのデパートの核の売り場とは言えなくなっています。

販売員も、商品も問屋にお任せで、社員は催事企画や経費、売り上げ数字の管理などをしているということになっています。

ある時期から、売り場の専門職の社員を育てることを辞めてしまっていますから、キモノをそのものを知らない社員が呉服売り場にいるという奇異なことが進行中です。

老舗のところはギリギリまだ人がいますが、電鉄系などにはもうそういう存在はほぼ皆無です。

そのわずかなベテラン社員もあと10年以内にほぼ全員現場を去ってしまいますから、呉服売り場は結局問屋が面倒を見ることになるでしょうし、問屋の負担は益々大きくなります。

ですからこれからは派遣で出す販売員の技量が問われるのですが、これと言った研修をしているようでもなく、益々モノを知らない販売員が増えていくのです。

多くの街で呉服専門店は力を失い、後継者不足ですから、本当はデパートがキモノという文化に対してそれなりの見識を持っていれば、将来一番の稼ぎ頭になるやもしれ無いという可能性を秘めています。

地方に良い専門店が無ければ、デパートのバイヤーがそれなりに勉強して見識があれば、いやでもいい商品はデパートに集まりますし、販売員も鍛えておけば、消費者はデパートで買うということが増えていくでしょう。

しかし現実は逆の動きをしているところが多く、実に残念で惜しいと思います。

箱貸し、場所貸しの商いのための社員を雇うというのは、本来の物販業者ということからすると大きくかい離しています。

呉服だけではありませんが、モノを売るというのはその売り手の器量によって大きく左右されますし。また品揃えも、人が考えることですし、その地域、その顧客層に合った品ぞろえを売る側が揃えるのがほんとうで、そのための人を育てていくことが肝要です。

もしそれがプロパーの社員で無理なのなら、外からベテランや志の高いある人を契約社員で雇うことも考えるべきではないかと思います。

キモノの仕事で身を立てたいと思う人は実は結構いるのですが、現実にはほとんど食べられないということで、結局この業界にそういう人を取り込めません。

作り手の消費屋の橋渡しとしての売り手の存在が、これから一段と問われていますし、そうしたキモノをよく知る人がその販売に携われるような仕組みが必要だろうと思います。

商いは人なりです。人によって大きく変わります。その人がいなくなっていることがデパートの苦戦の原因ではないかと私は思います。

学歴よりも現場での経験が本来モノを言うはずですし、ぜひそうした専門職を育ててほしいと、作り手としては切望するものですし、それが消費者のためにもなるのですね。

一生懸命勉強しておられるデパートの呉服売り場の人も知っていますが、残念ながら舌が育っていないということが多く、その人の経験や、お客様へのカオがつながりません。

経営陣に呉服売り場は宝の山だということに気がついて欲しいのですがね。


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