足し算か引き算か

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我々モノづくりを業とするものは、どのような人を対象にどういう物をつくるかということを考えて作りますが(中にはそんなことお構いなしの人もいますが)、
かつては、専門店や問屋もそれなりの個性があり、自分たちがどんなものを求めているか、どんなものが好きかということがよくわかったので、その店の意向に合わせたモノづくりをすればよかったのです。

そういう意味では、私共も一生懸命その意向に沿ったものを考え、良いものを作ることにベストを尽くしてきたものです。

ところが近年はそうした個性を持つところもほとんどなくなり、作り手はどういう方向性でものづくりをしていいのか非常にわかりにくくなっています。

ヒントが無いのでどう言う物を作って良いかだんだん分からないのです。

近年リスクを張らない(買い取りをしない)人がいい加減なことを言うので、モノづくりも中途半端になり、そういうキモノが山ほどできてしまいました。

どこに着ていって良いのかわからないようなキモノが本当に多いことに驚きます。

自らキモノを着て色々な場所を経験すれば、どういうところにはどういうキモノがふさわしいのか提案できるのですが、そういう人が少ないから、いい加減な情報の中でモノづくりを暗中模索で続けているというのが現実です。

デザインするに大切なことは、必要なところにはあるべき柄や仕事がしてあることで、不必要なところは逆に省くということが肝要です。

つまりメリハリということが大切です。

日本は本来引き算の美学というモノがあると思います。

無駄なものをできる限り削り落とし、必要なモノを集約して表現するのです。

俳句などはその典型でしょう。わずか17文字にその情景をすべて語るというのは、まさに日本文化の真髄です。

日本画でも大家と称する人は、画面一面に描きません。

無地場で如何に見せるかということが難しいのですが、それが本来の日本画です。

日本の間の文化というのは西洋にはない物かもしれませんが、それこそが日本の心です。

私も如何に上品にシンプルに作るかということをテーマにしておりますが、中には華燭のキモノとして、豪華なものも必要で、品が悪くならない程度に足し算をしていくこともあります。

要するに、足す、引くということをよく考えたデザインづくりが出来るかどうかということなのです。

教えてくれる人が今はほとんどいないので、自分で勉強するしかありません。
色々なものを見ることで、だんだん分かってくると思います。

キモノや帯で大事なことは着てみて、締めてみてどう映るかということで、着る人の立場に立って考えなければなりません。

展示会で飾って寂しいからもっと柄を足せなどというのが、最も物が分かっていないセンスの悪い言いかたです。柄が多い割には安いなどということを要求するなど、理解できません。

そんな意見に合わせたキモノや帯を作るから、中途半端でとんでもないものが出来てしまうのです。

これからはそんなにどんどんモノづくりはできませんし、一つ一つをよく吟味して作らねばなりませんから、作り手はより勉強をすることです。

買い取りをしてくれない、リスクを張らないくせに好い加減なことを言う者の意見でいいモノづくりはできません。

これからモノづくりをしていく人は色々大変でしょうが頑張ってください。

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