姫路の「みき正」という呉服屋さん

カテゴリー:

近年、地域の一番店ともいえる呉服専門店が次々廃業、あるいは破綻し、また地方デパートも閉鎖されたり、呉服売り場に筋の違うような問屋が浸食してきたことで、上質な良いキモノや帯を消費者が見られる機会がとても減っています。

実際泰三のキモノも、問屋としては売り先が無く、欲しいと思われる方がおられても見ていただける流通がありません。

上物の生産をしてきたメーカー問屋もそれで苦戦しているのです。

多分いいもの、筋の良いものを探しておられる方はたくさんおられても、いったいどこへ行けばそういうものがあるかわからないから、結局お買いにならないということがよくあるようです。

実はよく探せば、今でも良いものを扱っておられる呉服屋さんはそこそこあるのですが、その店のことを知る人が少ないということが、そういうミスマッチを呼んでいます。

はっきり言ってコツコツ長くやっておられるところほど、情報発信能力が無く、老舗という土俵に胡坐をかいてきたところが多いのは確かでしょう。

私はそろそろ65歳に近づいていますが、パソコンに触れたのはもう15年以上前ですし、HPも立ち上げ、こうして自分の思いを伝えていますし、そのことで現に多くの新しいお客様との出会いがあるのですが、このキモノ業界の老舗呉服屋という言うところほど、そうしたことをしているところが少ないのです。

固有のHPもなく、どんな店なのか全くわからないのでは、やはり敷居が高かったり入りにくいのでしょう。

老舗ほどITを活用できていないという現実が、本来お薦めしたいものが消費者に渡らない大きな原因の一つです。

私の知るそういう老舗の中で、是非ともご紹介したい店があります。

兵庫県の姫路市の西二階町という商店街の中にある老舗呉服店で、「みき正」さんというお店です。

かつて兵庫県だけでなく、業界で知らないものはいないほどの、呉服業界の雄の1軒でした。

姫路市のゆかた祭りもここの先代がで提唱されて始まったものですし、公的な仕事も随分され、まさに地元の名士でした。

仕入れ先も一流の問屋ばかりで、すべて買い取りで商われていました。

今の当代も大変真面目な方なのですが、問屋が他の店に平気で貸して商うので、嫌気がさしてあまり積極的に商われていません。

そのうち商店街自体が凋落傾向で、いわゆるシャッター通りと化し、しかも今言うようにあまり宣伝広告もされませんしITも扱えないので、知る人がどんどん高齢化し、しかも新規客ができないのです。

このままではそのうち廃業されてしまいますが、それではあまりに惜しいのは、このお店は今でも大変すばらしい品物を数多くお持ちなのです。

かつての染織業界の人間国宝の作品も数多く今でもお持ちの上、本当に今では作れないような逸品を、問屋以上にお持ちです。

私共も長いお付き合いがあり、今でも泰三の作品もありますし、もうすでに作り手として無くなってしまったところの名品も数多くあるという意味では、多分日本一ではないかと思います。

本当に良いものをお探しの方は絶対に行かれる価値のあるお店です。

今時の専門店やデパートなどこの店の在庫の品物に敵うところは日本中ありません。

日本一の品物がありながら、知る人がいない、つまり宝の持ち腐れというのは本当にもったいないことです。

私と今の当代とは友人づきあいですし、彼はいずれは辞めていく覚悟ですし、必ず相当安くしてくれるはずです。

泰三の紹介だとおっしゃればいいと思います。

姫路駅を降りてお城の方に広い道を行ったところの左側が西二階町です。

ちなみに電話番号は 0792-89-3333です。

ちょっと遠出をされても覗かれるのに値する名店なのです。

場合によっては私の銀座の店でその品物をご紹介するのも世の中のためかなと思っています。

キモノ初心者が、口のでかいところに行かれて、とんでもないことを吹聴されて、お買いになったりするキモノ業界を何とか正しい道に修正しないと、真面目な作り手はどんどん現場を去り始めています。

まだまだ私のやるべき仕事はたくさんあるように思いますね。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.taizou.jp/mt/mt-tb.cgi/1200

コメント(8) | コメントする

「泰三」と言えば極細の刺繍ですが、
この「みき正」では何を特色とされているのですか?

このお店は、いわゆる地域一番店の雄です。しいて言えばフォーマル品でこれほどのモノを持っておられるところは日本中にありません。だからどちらかというと洒落モノの店ではありませんね。

先日来、貴日記を遡って読ませて頂き、
「きもの」に関していろいろ勉強させて頂いて居ります。

疋田桜文を手に入れたにも拘らず、毎年着る時季を逃し、まだ一度も手を通して居りません。
そのことをお茶の先生にお話ししましたところ、
「桜は日本の象徴ですから、春夏秋冬何時着ても構いませんよ」とのお返事でした。お茶の先生が間違われる筈は無いだろう、、と思いつつも矢張り”季節外れ”に桜文を着用することに躊躇して、更に1年以上経ちました。今回、貴日記を拝読させて頂いて、私の”躊躇”が正解だったと安堵いたしました。感謝いたします。来年は季節を逃さず着用したいと思います。

質問させて下さい。
母は小柄な女性で「きもの」を好んで着用して居りました。母の着物姿を後ろから眺めますと、帯を挟んで上半身は背縫いの部分が背筋に添って真っ直ぐ降り、下半身は身体の中心ではなく裾まで右側寄りに位置していました。私自身がきものを着用しますと、矢張り真ん中には位置しませんので、身幅の問題かな?とも考えております。
チャンスは極少なのですが折に触れ、きもの着用の女性の後ろ姿を拝見しますと、背縫い部分は上下裾まで真ん中に一直線になるように着用なさっておられます。
◎きもの着用の際、帯下から裾までの「背縫いの位置」は如何なものなのでしょうか?
お教え願えれば幸いです。


背縫いの事でお尋ねでございますね

背縫いは仰る通り帯より上は袖の両端を手で持って同時に引っ張って背縫いを真ん中に致します
上半身は真ん中でなければおかしいのです

以前は日常着物を良く着ておりました
身幅が違う着物でももちろんお召しになっていましたしそれは当然のことでございます

それは今でも同じです
裄が極端に違うのはおかしいですが身幅でしたらかなり違ってもお召し頂けるのです

帯より下は左手で前身頃の位置をきちんときめて、残りを巻きつけるように着ますね
おわかりになりますでしょうか?
ですから身幅がきちんと合っておりましたら背縫いも当然真ん中に位置します
例えば着物の身幅より実寸法が広い場合は背縫いの位置は後ろから見て中心より左側にずれます
実寸法より身幅が狭いときは逆に後ろから見て右側にずれます
それはおかしい事ではないのです
手の長さ(裄)は伸びたりする事はあまりないです
着物は太ったり痩せたりしても問題なく着られますし、、
洋服とは違いますからぴったりと合わせなくても融通がつくのが着物良さです
下半身も真ん中でなければならないのでしたら寸法が変わる度に縫い直さなければならないです・・・

たまたまご覧になられた方の着物の背縫いがほぼ真ん中の方々だったのではないでしょうか?
上半身ずれていたら変ですが、下半身は全く問題はございません
裄が合わないものをお召しになっているとか、
襦袢と寸法が合わなくて襦袢が出ている方が凄くおかしいと思います

お分かりいただけましたでしょうか?
疑問等ございましたら、どうぞまたお尋ねくださいませ

泰三  高橋 裕子


帯より下の「背縫いの位置」に関して、
ご丁寧な説明頂き、納得いたしました。
有り難うございました。

実家が姫路で、祖母も母も、みき正さんで誂えていました。私は結婚後、関東に引っ越しましたので、着物を購入したくても相談できるお店がわかりません。
では、地元で、と思い、検索したところこちらの記事に辿りつきました。
みき正さん、学生時代に私が外から見ても格式高い呉服屋さんでした。
大人になり、購入したくても、敷居が高くて、小売りなんて
してもらえるのか不安でした。
祖母や母の時代には、反物を家までいくつか持ってきてくださり、
それを選んで誂えていたようです。
お得意様しかかえないのでは、という懸念もあります。
姫路は城下町で、呉服屋さんも多く残っていると思いますが、
商店街の空洞化で、呉服屋さんだけでなく、古くからの良いお店が
閉店しそうで、本当に残念です。
長くなりましたが、初心者が小紋や色無地などを求めに
みき正さんに行っても、大丈夫でしょうか。

全く問題ありません。社長に私の名前を出せばいいですよ。社長は火曜日と木曜日に休んでいます。

そのうち廃業しますから安くしてくれると思いますよ。

ご回答ありがとうございます。
ちょっと緊張しますが近いうち、帰省の際には必ず参りたいと思います。
西二階町の閑散とした状況を考えるとやむを得ないのかもしれませんが、そのうち廃業なんて、寂しい限りです。

お正月も晴れ着を着なくなってきた日本。
何か大事なものを随分と置いてきてしまった気がします。

娘には着物の良さ、美しさを引き継いでいきたいです。

コメントする

月別 アーカイブ