キモノを次世代に伝えるということ

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糸価格が上がる前の駆け込みで、丹後などの白生地生産は前月よりは増えているようですが、前年期間比で言うとまた下がっています。

長浜は特に深刻で、相当経営環境は悪化しており、産地としての存亡を考えざるというような状況にあると思います。

精練場も維持するのは大変でしょう。糸の値が上がる駆け込み需要が終わればその次に舞っているのは、大幅減産です。

泰三の作品も高級な物はほとんどすべて長浜の物ですので、安穏とはしていられませんし、この産地の未来に対していつも心配しています。

これから淘汰がまだ進み最終的にどこが残るのか、つまり残ったところが続けられる環境となるまで、産地としてのリストラが進行し、需給バランスが取れるのはいつなのか、全く見当がつきません。

年が明けてから大手問屋の売り上げがかなり落ち込んでいるとのことですが、それは対象がNC、LC(ナショナルチェーン、ローカルチェーン)が多いので、そうしたチェーン店が売り上げ不調なのでしょう。

その大きな原因が振袖販売の低迷と言われています。

まあ近年、ハッキリ言って製品の質が落ちる一方となり、奇跡的に薄い生地にインクジェット加工をしたようなものが主流になるなど、そして方や同品質でレンタルを強化するなどすれば、こんなものなら買わないで借りておこうということになるのは当然でしょう。

両親は娘のために少しは良いものを買ってやりたいという思いでおられるのに、それに見合うモノが無く、結局レンタルになってしまうという結果は極めてキモノという文化にとって残念です。

キモノは長くお召しいただける、つまり長持ちするので、買うということは次世代への継承という意味合いがあります。

親が子に伝えるものとしても貴重なもので、その思いをかみしめて次世代の人たちがお召しになってくれれば、親としてもうれしい限りでしょう。

そういう精神的な文化の継承という意味で、振袖は貴重な存在なのです。

親が可愛い娘のために無理をしてでも買ってくれた着物を大事にして、自分が結婚して子供が大きくなったらそれをまた着せたいというような思いが伝わる、その家の歴史が継承されていくことは極めて喜ばしい話です。

にもかかわらず、それをレンタルで済ませてしまえば、親がせっかくそういう思いを持っていても、子に伝わりません。

買っていただくのなら、レンタルよりは質のいい、多少は値が張ってもそれに見合う品ぞろえをしてほしいと思うのですが、そういう親の思いを解しない業者は自分の都合でしか品ぞろえをしていないのが現状でしょう。

それに販売が落ちるからと言ってレンタルの価格を上げていて、驚くばかりの高額です。

私にはそういう業者の商行為がまったく理解できません。

親が買ってくれたキモノを着るということの感謝と喜びを持って貰えるようなものをお薦めするのが、売り手の責任であるという思いで、私は自ら務めておりますが、
実際大変喜んで、泰三の振袖をお召しになられたお嬢様のお写真などを頂けると、本当にいい仕事をさせていただいているという思いを強く持ちます。

キモノという日本文化を継承する中に、その思いを伝えるという日本人固有の精神文化も含まれているということもあるでしょうし、なおさら、丁寧なモノづくりと懇切丁寧な販売が求められているのです。

業者がそういう思いを持つためにも、まずはやはり自分で着てみることを実践できなければなりませんね。

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