お手入れは早い目に

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6月もあとわずかです。

一応7月からまた夏物の季節です。単衣は9月までお預けです。

これからの2カ月は基本的には袷、単衣共にお召になりませんので、何時ものことですがお手入れをして頂きたいと思います。

汚れは生地の中にその汚れの分子が入り込むと、どんな汚れなのかは別にしてとても落しにくくなるのです。

天然繊維を染めるということは、糸の中に染料の分子が入り込んでいくということです。
決して化学反応を起こしているわけではありません。

ですから摩擦には基本的に一番弱いのですが、何かの薬品などで、その分子が浮き出して色が抜けたりするわけです。

浸み落としも同じことで、どんな液体か何かわかりませんが、その分子が糸の間に入り込んでいる状態が汚れです。

ですから、汚れがついてすぐなら、水と摩擦を与えるだけでも汚れが浮き出してくることもあります。

しかし時間がたっていくと、まさに染まった状態と同じとなって、糸の中に沈着してしまうので、ちょっと水やベンジンを付けた布などでたたくくらいでは汚れの分子は浮き出してきません。

また場合によると、その汚れの分子が、染料の分子と何か反応を起してしまうかもしれません。

こうなると、どうすれば落ちるのかと言うのが非常に難しく、化学薬品を使うのですが、どんな薬品を使うと落ちるかというのを判断するのが難しく、実はこのしみ抜きなどの補正業というのは、その職人さんの技の優劣の差がかなり大きいのです。

あるところで、加工賃は払わされたけれど汚れが取れなかったものが、違う職人さんのところに持っていくと見事に落ちたという話も枚挙にいとまがありません。

最近ネットでそういう補正業で安い加工賃を謳うところも多いようですが、汚れが付いて早い目ならそういうところでも落ちるでしょうが、難しいものはちょっと無理な場合も多いのです。

ですからそれなりに洋服のクリーニングよりは高くついても、毎年まめに早い目にお手入れされると汚れも落ちて綺麗な状態で保存され、結果的に長くお召いただけるというのは本当です。

もちろん中には自分で汚れが落とせるような段階のものもありますし、衿の汚れなどはかつてはみんな自分でベンジンなどで落したものですし、。キモノ自体も洗えるものもあります。

どうであれこまめに早く手入れをされることが肝要であることは間違いないのです。

基本的には買われたところにお願いをされるべきなのですが、かつてお買い求めになったものは、その業者が廃業していることも多く、大変お困りの方もおられます。

私共ではお客さまが以前他店で買われたところのもので、特にデパート関係のものなどは当店のほうが安心だということでずべてお引き受けしています。

こういう悉皆ものは、職人さんに仕事を出す業者の知識が大切で、ひどいところはなんでもかんでも直ぐ丸洗いなどというところがあったり、お客が指摘したところだけしか見なかったり、経験を積んでキモノのものづくりの知識がないと、的確な指示が出せません。

仕立て前の汚れでも同じですが、デパートの検品係などでは、縫込みのところのシミまで落せだとか、正にキモノの仕立ての知識も何もないものが増えているので、問屋やメーカーも頭を抱えることが多いのは確かです。

キモノを売るという仕事は多くの知識と経験が要求され大変難しい職業の一つだと思います。

にもかかわらず、ちょっと着付けのできるくらいの女性を採用し、生保レディのように、知り合いに売らせ、売れなくなったらすぐお払い箱の様な雇用をしているところが多く、これでは真のきものの知識をお客さまに伝えるどころか、誤ったことを平気で言うのです。

売れればなんでもありで、ノルマでとりあえずどんなことがあっても売れという話はいまだに枚挙にいとまなく、それを知っていながら平気で卸す問屋の質の悪さも何も変わりません。

キモノを大切な日本文化としての捉え方を、京都の業者自らがしないと、胡散臭い販売業者が世界文化資産に登録しようなどと言う、本当はやる気もないくせにその運動自体を販売促進に利用しようなどと言う輩が次々出て来てしまいます。

ここ数年で、ベテランが次々現場を去るので、本当の商いを知るものがいなくなってしまいます。

殆どのデパートなどただの場所貸しと化し、問屋が持ち込むものをただ並べるだけで、物の良し悪しさえわからないバイヤーなどがいるのは噴飯ものです。

私の母校の後輩などもデパート呉服にいますが、本当にだらしなく思います。どうせ難燃化でまた違う売り場に移動だと思うのでしょうが、任されたことにベストを尽くし勉強をする姿勢がなければ、まあ碌でもないおっさんになるだけです。

日本人として誇るべき素晴らしい固有文化を扱うことに幸せを感じ、誇りをもって仕事をして欲しいものですね。


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