寂しい話

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月曜日にお召の会は終了いたしましたが、多くの方にお見えいただき、同じ織物のキモノでも本当に色々なものがあることをご理解いただいたのは嬉しく思います。

西新の織の技術はまさしく世界最高峰で、大変複雑な織の組織を駆使することで、まさしく織れないものはないと豪語するに足る、素晴らしい作品を作り続けてきました。

しかし問題は、そのためには多くの人の労苦が求められるという事で、1人で出来ることではありません。
多くの秀逸な技を持った職人さんの存在が不可欠ですが、実は一番肝心なのは、素晴らしいものを作ろうという、オーナーシップであり、そういう親分の存在です。

技を持つ職人さんに、よりハードルの高いものづくりをさせるためにも、お金はもちろん、ああしろ、こうしろと指導できる人がいなければ、新たなものは生まれません。

そういう存在が急速に消えつつあり、逆にリスクのあるものを避けよう避けようとしていますので、
これと言ったものづくりができないのは当然で、だれが見ても高級品だなと思えるものが急速に市場から消えつつあるのは確かです。

我々プロの目から見ても、老舗のところでも、明らかに手を抜いているとか、材料の質が落ちているとか、センスが悪くなっているとかというものが散見という言葉では済まないほどあふれ返ってきましたし、同じ立場でいる私としては大変に残念な思いをしています。

自らのものづくりの歴史に汚点を残すようなことはしたくないものですし、たとえ生産が減ろうとも、
胸を張って、その価格に見合う仕事をしていきたいと思うものです。

しかし難しい時代に突っ張っていくには、矢張りオーナーでないとできませんし、そのオーナーが利益ばかり優先するようでは確かに本物は作れません。

先日かつて養蚕業で始まったグンゼという会社の、唯一生糸を扱っていた子会社が、来年の3月で廃業というニュースが飛び込んできて、その創業の仕事を完全に閉じるというのは本当に残念な思いですが、赤字では続かないということでしょう。

たとえ高額でも、本物を探している人との出会いをいかにしてするかということに関しては色々戦略もありますが、一番の基本はその人たちを満足させる品揃えです。

今後もこの国の経済は不透明とはいうものの、高額でも良いものを求める人がいなくなるわけはないと信じていますし、余り目先のことを考えず、プライドをもって、良いものを作っていきたいものです。


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