やる気

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3月も終り、もう4月の声を聞きますが、製造卸などの段階で4月は業者向けの秋物の内見展などが開催されるのが常ですが、かつてと違って新作は少なく、特に加工度の高いものは本当に稀有となってきました。

先日も同業者と話をしていると、一所懸命時間と金を使って上物を生産しても、買ってくれる小売屋はほぼ皆無で、貸してくればかりだそうです。
勿論当社でもそうですが、これでは作り手のやりがいもなく、製作意欲は減退するばかりです。

私もずっとそういう思いを抱き続けておりましたが、今は消費者に直接提案する道があるので、まだ頑張れます。

本物、上物の生産のためには、そういう製造問屋の頑張りが必要であることは言うまでもありませんが、このままでは真面目に頑張るものほど嫌気がさして辞めていく可能性があると思っていたら、矢張り色々と水面下で廃業が出ています。

一生懸命考えて、長い時間と金を変えて作った逸品は絶対売れるだろうと確信していても、良く出来たから貸してくれとは失礼千万な話です。

素晴らしいと思ったら買って、お客様に自信を持って販売するのが当たり前の小売屋の仕事だと私は思います。

安いものだけ申し訳程度に買っておいてあとは委託してくれでは問屋も持ちません。

あちこちから注文があっても、そのすべての委託に応えられるほど在庫は持てません。

ですから小売店もせっかく販売機会があっても取り逃がすことになり、せっかくお客様もその気になっていてもお買いにならないということになります。

実はこのキモノ業界が、現在着る人がどんどん増えつつあってもそれなりの販売に結び付かず、生産は落ちる一方だという矛盾にも思える現象は、そうした業者間の取引環境と無縁ではありません。

昭和50年代に入って、欧米化が進み、キモノへの需要、特に普段着のキモノ着用が急激に減り始めたことで、全体の生産数が大きく落ち始めましたし、それ以降に問屋が成したことが結果的に今も苦境を招いたのです。

その辺の詳しいことは以前にも書いておりますので、再掲しませんが、結局マーケティングという考えがなく、マーチャンダイジングが極めて拙劣でかつマーケットリサーチもしてこなかった行き当りばったりの業界体質は、メーカーの弱体化を生み、近年当然ながら生産を大きく落とし、正に肝心の適品が品薄となりつつあり、その延長上で取引条件の悪い問屋や小売屋はメーカーから忌避されつつあります。

センスの良い本物を取りそろえられるかということに本来小売店の生き残りがかかっていますし、リスクを張って品揃えをするところがやはり強いということでしょう。

委託販売が主流になった時、買取する人は当然相当安く買わないと割が合わないといって、問屋を値切りまくるようなことがあり、それでは問屋は利益が出ないから、それなら委託で結構ですなどというようなおかしな商いをせざるを得なかったという背景もあります。

買取といっても新品を値切りまくるなどという品のない者にも、良いモノが集まらないでしょう。

問屋小売屋が良好な関係を作れるところだけが生き残るというのは当然ですが、最近の同業社の話を聞くと、一向に条件は改善されないどころかもっとひどくなっているとのことで、私と同業の上物製造問屋も、東京の中心部の呉服屋との取引が全くないとぼやいていました。

この仕事を生業として続けて行きたいのなら、問屋や作り手を大事にすることは当然なのですが、いまだに売ってやっているというような感覚を持っている輩もいます。

消費者はセンスの良い本物の良品を求めているのは当然ですし、その目線での商いに合致することができない者は益々姿を消していくことだろうと思います、

しかしそうなると売り手の減少でますます生産が落ち、生産システムが崩壊します。

こうした事態を打開するには、メーカーのブランド化を一段と進めることだろうと思います。

勉強もしていない小売店やデパートの販売員は、物の良し悪しなど全く分かりませんから、人間国宝だとかの作家ものや、生地の端に説明の付いている紬だとか、名の売れている問屋のものしか薦められません。

最近は老舗染問屋でも品質はかつてよりはるかに劣るのに値段だけべらぼうに高いものなどもよく見ますしこういうものを買わされる人は気の毒です。

つまり売り手の質がとんでもなく落ちているので、メーカーブランドを強く打ち出していかないと、全く売ってくれないということになります。

私が強く皆様にお勧めする梅垣さんでも、かつては良いものは見ればわかるでしょうなどと言って、これと言った情報発信をしないので、強く私がHPを立ち上げ、ブログも含めた発信活動をすることで消費者に名を知ってもらうことを薦めた結果、重い腰を上げ今では定期的な情報発信に努められていて、梅垣さんの帯が見たいけれど、どの小売店に行けばいいのかと消費者のほうが問い合わせをしてくるようになってきたようです。

そうなれば、取引条件の良いところをメーカーが選べますし、売り手市場に戻せるのです。

消費者のためにも、真面目なものづくりをするところがブランディングを益々推進していくことが肝要で、そのことがもっとも今求められる生き残り戦略だろうと思います。

ただ道筋をよく考えての行動が大切なことは言うまでもありませんし、思い付きでは成就しません。
これからの業界を担う人はドンドン知恵を出して、良いものづくりをつづけてください。

きっとそう言う人たちを消費者が応援してくれます。情報を出すことを恐れないことですね。


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