伝統の重み

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古い神社には遷宮という儀式を執り行うところがありますが、今年は京都の上賀茂神社、下鴨神社の21年ごとの式年遷宮が執り行われます。

過日その費用が集まらないということで、下鴨神社が現在駐車場で使っている場所にマンションを建てるということを決め、全国的に話題になりました。

糺の森を伐採してということではありませんが、世界遺産だけに神社経営のこれからの難しさを象徴しているような気がします。

勿論個々の宮司の政治力の無さだとか、寄附をお願いするところを間違えているのだろうとか、集金の準備の遅れや危機感のなさなど、至らぬ点もあったにしても、大きな維持経費をどう捻出するかというのは、大きな課題です。

伊勢神宮などは20年に1回すべてのモノを新しくしていきますから、規模も大きく、かかる費用も莫大ですから、全国にその為の組織があり奉加帳が回ります。

上賀茂、下鴨神社はそれぞれ社殿が国宝であり需要文化財がために、社殿を移し替えることができませんので、修理したり新調したりして対応していますが、それでも今回下鴨神社だけで40億かかります。然し全国に末社がなくいわば集金できる組織もありません。

こうした宗教的な儀式は、非常に歴史が古く、この両社でも平安時代から続いてきました。
かつては伊勢神宮もそうですが、この両社ともに天皇家との関係が濃いので、今でもこうした儀式には勅使が差し遣わされます。

天皇家が力を失い、その後は武家が後援者となり、明治までは続いていたのですが、何せ明治政府はとても武士とは言えないような、超無教養な輩のクーデターで成り立っていただけに、こうした精神的な伝統文化さえ理解せず、廃仏令、神仏分離、国家神道などというとんでもない品無き政治のために、多くの神社仏閣が消滅したり、その寺領や神域を取り上げられ払い下げられてしまいました。

こうして国による援助を絶たれたために、以降台頭して来る振興財閥などにすがっていたのですが、それもまた戦争によって希薄となり、現在では広く薄く浅く多くの人の力で、そうした文化を支えて行かねばならなくなりました。

宗教も大きな文化ではありますが、近年の日本人には、これと言った宗教を持つ人が少なくなり、仏教でも寺との関係が一段と薄くなり、墓を捨てる人まで出てきています。

少子化による事情もありますが、今日本は大きくその伝統的な文化の維持継承の曲がり角に来ているのは確かなのです。

形だけでない精神文化などの重みや価値を理解しない、すべて形や金でしか価値を認識できない、あるいは費用対効果をすべてに適用しようとする風潮、特に各方面の上層部にい乍らそういう男が多いのは、極めてこの国の未来が心配です。

先人が築き上げた文化を軽視する国に繁栄があったためしがありません。

世界も羨む高度な技を駆使した美術工芸は、正しく長い歴史で培われたものであり、それを理解できないと言う事は過去の否定にも等しい行為です。

この国をこれからも引っ張っていこうという人が、その伝統の重みをどれほど深く理解しているのか、それこそがこれからのこの国に取ってもっとも重視すべきファクターなのだろうと私は常々思っています。

そのように思えるような教育を課すことで、日本人としての真の誇りを取り戻してもらいたいと思っていますし、私自身も若い人には啓蒙していきたいと思います。

自分のためなら非戦闘員でも何でも殺すことを何とも思わないような国に追随することが国益だなど思っているとしたら、本当にこの国の未来はありません。

元来虫も殺さないような優しさをもつ国民性は世界に誇る美徳です。

自利私欲ではない国づくりのために、私利私欲の塊の国と提携するなどと言うのはまさしく教養の無い、品位なき行いだと強く思うこのごろです。

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