淘汰

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友禅の工程に、地直しといって、
かつては手描き友禅の製造段階で色々シミが付いたりしたものを落としたりする仕事があります。最近は補正業などとも言います。

一昔前は、生産数が猛烈にあったので、大変忙しい目をしていたモノですが、徐々に新規生産が減り始めてからは、仕事がとても少なくなり、アルバイトをしなければ食べて行けない人も多くなり、廃業した人もとても多かったのです。

ところが今はまたとても忙しいのです。

新規生産の仕事は激減しているのですが、過去のキモノを着たいということでの直し物等が激増して、私がお手入れを頼んでいるところでも、仕事が山ほどあって、6月に整理に出した袷のキモノの整理が間に合っていません。

まあまだまだ着られるキモノがあるので何とかなりますが、それにしても様変わりで、リサイクル品の仕立て替えなども含め、最終段階の工程のところだけが忙しいという状況はこれからも続くと思います。

秋になっても呉服市場は芳しくなく、チェーン店の苦境が続いています。一部富裕層向けの高額なキモノ販売もここのところ不調です。

あるチェーン店が別のチェーン店に身売りしたというニュースが飛び込んできましたが、こうした収斂、整理淘汰は今後も続くでしょう。

最盛期の5%も生産が無い中での生きのこりは正に知恵比べなのでしょうが、残念ながら高い質のものづくりは一段と減退し、作れなくなるもの、消えていく技が増えて行くという流れに歯止めはかからないと思われます。

今の世相に鑑みて致し方ないわけですが、富裕層といっても必要のないものは買わないわけで、現総理夫人が急にキモノや伝統文化に目覚めるというようなことでもあれば、少しは違う流れがあっても、現実は厳しく、後継者育成問題も待ったなしという状況です。

ただ海外と取引をして新たな需要を喚起するという動きもあり、キモノや帯を作る技を他方面で駆使するという動きにしか未来がないというのも嘆かわしい話です。

文化力がこの国を救うのだという人がたくさんいますが、現実にはその文化力を身に付けるだけのことをどれほどしているのだということが一番問われています。

最近小学生などにも日本文化に触れさせるようなプログラムも増えているそうですが、そのことが此の国の文化力のかさ上げになるような施策が求められるのです。

そのためにもつまらないところにバカほど金を使う政治家や官僚の文化力アップが一番問われているのは間違いありません。


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