頑張って欲しいデパート呉服

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キモノの流通は大きく分けると4つほどございます。

1つはいわゆる呉服屋さん、専門店での販売、2つ目がデパート呉服、3つ目がチェーン店での販売です。これには全国展開のナショナルチェーン(NC)と地域のチェーン店、ローカルチェーン(LC)があります。

そして4つ目が現在シェアの大きくなって来たネット販売です。

リサイクル店は古着ですので新規生産の流通とは違いますので省きます。

家電業界などでは、この4つのルートに同じものが流れていることが多く、ですから消費者は量販店などで現物を見てネットで安く注文するとかということが出来ます。

ところがキモノ業界では、メーカーの規模が小さいので、それぞれの流通に特化したものづくりをしているところが多く、また問屋もそれなりに分かれています。

つまり専門店には、我々のような専門店向きのものづくりをするような製造問屋が納め、デパートはデパート問屋、チェーン店には大手問屋がそれ向きに作っているメーカーのものを納めます。

つまり同じものがどこにでもあるわけでもないのですが、型でこしらえているものなどだと、若しかしたらネットで同じものが販売されている可能性はあります。

チェーン店は維持経費が大きいので、どうしても利益率を上げようとしますが、大体スーパーなどに出店しているから高額品は売れないので、低級なものが中心ですが、それで利益率を取ろうというので、インクジェットなどで生産したものなどが多いのです。
もう一つは名簿取りで、名前を書くと店外での催事にしつこく勧誘され、ろくでもないものを高く買わされるということもままあります。

近年そういう商いへの咎めを受けて、売り上げが急減しているNCもあり、そこに納める問屋、
その問屋に納めるメーカーもリストラに次ぐリストラという状況で心配です。

その点専門店での販売は良心的とは言えますが、NCなどに納める大手問屋が主たる仕入先のところは、いわゆる良いものが無く、店外催事中心の商いのところも多く、真に消費者目線の商いとは言い難く、ひどい商いを平気で何の衒いもなく続けていて、キモノの文化の未来に関して何の見識はないとしかいいようがありません。

小規模ですが真面目な小売店は少なく無いというより殆どがそうなのですが、HPもなく、又後継者もないところが多く、これから先益々廃業が進み、本来残って欲しいところほど先に次々と姿を消していくでしょう。

とすれば、色々な意味で、デパート呉服は、初心者にとっても見易いですし、そうは酷い催事もないので、キモノをこれからお召になりたいと思われるような方たちの浮け皿になって欲しいのです。

特にMとTは発祥が呉服屋だけに、他のデパートよりはこだわりもあるでしょうし、何とか今後のキモノ文化継承にそれなりの使命感をもって尽力してもらいたいと切望しているのです。

ところが、普通はデパートは65歳で全員退職せざるを得ないので、特に近年我々団塊の世代が次々と現場から去っていて、あきらかに販売力が落ちています。

バイヤーも若くて、何も知りませんから、問屋任せですが、デパート問屋のものづくりも同様にベテランがいなくなって、急激に品格が下がっています。

キモノや帯を売るためには、その背景の文化のことも知っているべきですが、そういうことに対応できる社員もほとんどいませんし、人材教育もほとんど出来ていませんから、結局各問屋が派遣するおばさんが適当なことを言って販売しているということなのです。

デパートは入りやすいこともありますので、初心者からベテランまで幅広く御客様がお見えになるのですが、過去にずっとキモノを買われてきた方々は高齢となられ、そいう言う方たちに教えてもらいながらも良いものを販売してきた社員が去り、これから大事な事は、次の世代、あるいはこれからキモノを着ようという気になっている方々を真のキモノファンとなっていただけるよう、或る意味育てていかねばなりません。
いわばキモノコンシェルジュとなって、キモノの魅力を訴え、お客さま目線で買って後悔しない本物をお薦めしていくことが肝要です。

ところが現実は、特選の連中は客を値踏みし、富裕層と思うと、ろくでもない高額の作家ものを売りつけようとしますし、キモノを着る背景文化もなにも知らないものが殆どです。

派遣のおばさんは雇われた問屋のものしか売ろうとしませんから、結局初心者が訪れても、色々相談に乗ってくれる、知識を持った社員と出会いません。

バイヤーの社員も勉強不足ですから、置いてあるキモノも消費者目線とは外れたものも多く、価格だけはべらぼうに高いというイメージも強く持ちますし、これでは新しい顧客を開拓することは難しく、いつまでも富裕な外商の客に頼るということになりますが、販売員の質が落ちるとそれさえ売れなくなってきます。

キモノを買ったこともないし着たこともない社員に、ああだこうだといっても理解されませんが、キモノ文化の未来を考えるときにデパート呉服は重要な販売ルートであることに変わりはありませんし、最も初心者の受け皿となって欲しいという願望を込めて、とくにMとTには真剣に取り組んでもらいたいものです。

まあデパートがだらしないから当店においでになるという方も少なく無いのですが、私も若くないですし、何とか専門店のEさんも含めて、仕入方、販売員ともに教育され、安心してキモノライフを任せられる店になっていただきたいと思います。

キモノそのものの知識は当然ですが一番大切なことは、コーディネーターあるいはスタイリストとして、それぞれのお客さまに本当に似合ったものをお薦め出来る感性を磨くことです。

それには美術館なども含め、つねに良いものを見ようと努力することが大切です。
そして、できれば茶道等のお稽古をすることも大切です。
自分でキモノを着て、歌舞伎や能などを観劇するなど、お客様の身になることを体験することも常識です。

良質なものづくりは、良質なバイヤーや販売員にかかっているという使命感だけでなく、もっとも大切な基本的な商いの心を醸成することが上に立つ者の役目です。

キモノを愛するものとして、作り手として、心配なことは山ほどあり、職人さんの高齢化、材料道具の枯渇など、このさきの上物の生産には難題が山積みですし、正に業界一体となって何とかしていかねばならないと切歯扼腕の思いは募る一方です。

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