放映を終わって

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9月11日夜9時からBS朝日で放映された、「美しすぎる美智子さま第2段」で、思いの穂か私の出演場面が多くて恥ずかしい思いもいたしましたが、皆さんからも番組自体の好評価を頂いて、取材協力した苦労が報われます。

「美智子さま和の着こなし」という写真集のキモノの監修を頼まれたのは、当社が宮内庁に口座を頂いている御用達企業であること、過去から間接、直接宮中におキモノを少なく無い数お納めしていることを知っていた編集者が、是非お願したいということでしたのでお引き受けしたのです。

下書きのライターがキモノのことを良く知らないようで、殆どずべて書きなおしたようなもので苦労しました。

その写真集をもとに今回の番組制作がなされたのですが、職人さん仕事現場への取材の段取りから、撮影、インタビューすべて全面的に協力したわけで、特に取材時期が、盆明けの残暑厳しい中で、6日間同行して本当に熱中症になりそうでした。

友禅の主要工程を丁寧に取材するというのも他のテレビ局でされたことは無いように思いますが、資料映像としても残していきたいということでことさら丁寧に撮影がされました。

現実は各職人さんの放映時間はわずかでしたが、糊置き、金彩、刺繍の職人さんは比較的時間を取ってくれて、先代からの仕事をして来た人たちでしたから嬉しく思いましたし、良い思い出になったことでしょう。

皆さんもう70歳を超えておられて、まだお元気とは言うものの、これから先のことを考えると、後継者もほとんどない状態ですから、同じようなモノづくりが出来無いことは必至です。

行政がそれに対して具体的な効果的な手を打っていませんので、高齢化による廃業も後を絶たず、その人の技が伝わらないままに消えていくのです。

それこそもったいないのですが、仕事量が激減している現在では、これと言った手を打つことも出来ません。

今回でも仕事場があまりに暇なので、ゆっくり撮影ができたわけです。忙しい時なら断られていたと思います。

高級なキモノの生産にはそれを表現出来る技を持つ職人さんの存在は不可欠ですが、政官財のトップクラスでも日本文化を知らないような今の時代では、その夫人がキモノを競うようなかつてのようなことはもう2度とないでしょうし、立場に相応しいはずのキモノの製作が出来なくなっていくことも必定です。

日本人の自国文化への意識が高まること、そういうものへの需要に目が向くことが好ましく、それなりの立場の人は全員茶道をたしなむのが常識であったというような時代の共通認識が芽生えることを一番強く望んでいるのですが、難しいと思います。

高級なものが作れなくなるということはその文化全体の低落に拍車がかかりまさに何でもありの状態となり最後はキモノのものづくり文化は消滅に向かいます。

ただキモノや帯は、半世紀以上にわたって使用で来ますので、すぐに市場から消えてなくなるというものでは無く、私の目の黒いうちはそうしたキモノにお目にかかることもあるでしょうが、作れなくなるという事態はすぐ目の前まで近づいています。

ただ今回の番組の感想に、キモノへの興味を改めて持ったとか、手描き友禅の製作の苦労がよくわかったという声も多く、売り手もそれを意識して、そうした本物をお薦めして行ってもらえれば、生産が上向く可能性がないとはいえません。

売り手がものをよく知り、しっかりしていないと、良いモノづくりが適わないのは当然です。

インクジェットを京友禅だというような曖昧な、まるで手描き友禅と間違えさせるようなことを言っているこの流通業界には、いつも猛省を促したいと主張していますが、今回の製作協力の中には消費者に手描き友禅の素晴らしさを啓蒙したいという意図がありましたし、知識を得た消費者をだますことは出来ません。

何百年と言う長い歴史を刻んで来たキモノづくりを継承できるかどうかも、売手の見識にかかっているのです。

これからキモノ業界で活躍したいと思っておられる方のなかには、真の上物のキモノを見たこともないのに本等に口から出まかせの間違った情報を平気で発信している人もは少なく無い野で暗澹たる気持ちになります。

安物ばかり見ていると自分の目も安物になります。自分の鑑識眼を高めることが消費者のためになるという思いを持って勉強にいそしんでいただきたいのです。

キモノが嫌いだなどと公言する男がキモノイベントの実行委員長をしているなどと聞くと呆れるより悲しい思いをします。生業として認識しているなら、キモノが好きであることは当然です。

そうでなければさっさと辞めていただいたほうが世間のためです。

放送を終わって色々な方がたからの声援を聞くにつけ引退は遠のくばかりとは言うものの、しょせん私が作るキモノが需要されないなら去らざるをえませんし、それは偏に私の勉強にもかかわってまいります。
ご期待に沿えるよう今後も精進して参りたいと改めて思った次第でございます。

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