業界の若手

カテゴリー:

先日西陣の織屋さんの長男さんの婚礼に行ってまいりました。

長男のお披露目という意味もあり、近年では大きな婚礼で、新郎側はまるで業者の宴会でした。

私は染の関係では唯一招かれたのですがかつてから西陣の人たちとも懇意なので、色々お話ししましたが、染の関係だけでは無く、帯の生産現場も半端では無く厳しいようです。

西陣は帯だけでなく、お召や法衣、金襴、袋物、ネクタイなど織物生産業者の集合体で、かつては2000軒以上の業者がしのぎを削り、繁栄していましたが、今や全部合わせても100軒くらいだろうと言われていますし、元気に生産しているのはその半分くらいではないかと言われるほど、疲弊しているようです。

西陣は長い歴史があり、その織物技術は紛れもなく世界最高水準ですから、そのレベルを維持することは世界の文化であり日本の国富、宝物だと思います。

しかしながらこれほど生産が落ちる、つまりは売れない、特に高級品程売れないという、染と同じ業界の現実に鑑みると、西陣でも若い人の参入は極めて少なく、その文化の質も落ちる一方となります。

そういうことに政治家は全く教養が無く気がつきませんし、人づくりのリスクがあまりに大きい状況では衰退の歯止めがかからず高齢化とともに廃業する業者は増える一方です。

西陣にはかつては若い人も在籍していて、私の若いころ、西陣の帯地の青年会は、京都の他の和装関連の青年会の中でもっとも人数も多く200名以上の一大勢力でした。

京都染織青年団体協議会という連合体でも、西陣帯地青年会の参加無くしてはなり立ちませんでした。

それがいまやなんと10名だそうで、その新郎が最年少メンバーだそうです。

西陣の人に言わせると、彼がもしかしたら最後の後継ぎかも知れないということで、業者の若手がこれだけ減れば、ものづくりがますます減って行き職人さんが食べられなくなることは必至です。

まあ友んと全く同じ構造で、インクジェットプリンターで生産した安物キモノに合わせた超低品質な帯も相当な数生産されるなど嘆かわしい現実です。

要は同じことを同じようにしていてはやっていけないのですし、いつも私が指摘するように流通を改革することで生産者側の付加価値を増やすしかありません。

どうして行くのかは個々に違うのですが、より消費者に近づくことしか生きる道はなく、その為のブランディングは大切です。

誰かと組んで安物ばかり提案するようなところがありますが全く意味もなく、要は真面目な上質なものづくりが続けられるためにということを念頭に置くべきなのです。

消費者は決して安物を求めているわけではありません。

上から下まで10万で売れるキモノを作らないと未来がないなどという、呆れた業者がいますが、私が出たテレビを見た人たちも、手描き友禅の本物がそれなりの価格なのは当たり前だという認識はもっておられますので、そうした本物を求めたいという人のほうが多いのです。

それを納得できる価格とともに知識、センスなどを供与できる業者を探しておられるのですし、まだやり方によっては道はあります。

西陣の人たちも先人から引き継いだ秀逸な技を継承するという使命のもとに色々あらん限りの知恵を出し、行動していけば道が開けるのでは無いかと信じますし、私も微力ながらお手伝いいたしたいと思っております。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.taizou.jp/mt/mt-tb.cgi/1656

コメントする

月別 アーカイブ