厭世観

カテゴリー:

新年に入り、昨年度の丹後、長浜という2大白生地生産地の統計が発表になりましたが、まさに底抜けの状況で、減産に歯止めがかかりません。

丹後が最盛期の3%、長浜が2%まで生産が落ちていて、廃業も続いています。

種々の原因は考えられますが、要は輸入生地では無く、国内産の生地を使った染物の生産が増えなければ、このままでは、嫌気がさして辞めていくところもまだ増えていき、産地全体の生産システムに齟齬をきたします。

精錬なども数量がなければ稼働出来ません。地元での精錬を地練りと言いますが、その産地の風合いは精錬と大きく関係があり、他の場所での精錬では、古い伝統を守ることは出来ません。

行政の助けも必要かと思いますが、特に長浜は無地物ばかりで、つまりフォーマル需要が大半ですから、落ち込みが大きいですし、器用に立ちまわれませんから心配です。

無地物に関しては、丹後よりも長浜のものの方が一般的に品質が上ですので、当社でも無地ものはすべて長浜のものを使います。ですから長濱で良い生地が作れなくなれば、当社の物づくりも止まります。

果たして染のキモノの生産が回復するかは、現段階では相当に厳しい状況ですし、今年は今後を占う大事な年となるような気がします。

リサイクルやレンタル市場ばかりが拡大しているようなら、本当に上質なものづくりに危機的な状況が予想されています。

要は販売が増えなければ生産も増えませんが、前売市場での売り手の質の劣化は著しく、知識のない売り手が平気で店頭に立っているという現実は、今実は一番この業界の問題点だろうと思います。

実際には上質な良いものを買いたいと思っていおられる方は潜在的にはかなりおられるようですし、作り手も今はまだギリギリそういうことに応えられるものづくりができますが、売り手がお客の要望を適格に捉えることが出来ないということで、作り手と消費者の橋渡しが上手くできていません。

また売り手が作り手に消費者動向を正しく伝えられないので、お客が望むものとのミスマッチが広がっているような気がします。

販売員の教育は一朝一夕でできるものでもありませんが、基本はお客様の気持ちに立ってモノを考えるということです。

何でも売りつけようということではなく、その人のこれからのキモノライフをよく考えて誠意ある販売をすることに尽きるのです。

この業界には種々の難問が大きく影を投げかけております。

まさに一致団結を望むのですが、現実はバラバラでまとまりもありません。

この業界だけではありませんが真に利他の精神を持ったリーダーが不存在です。

安ければ売れるなどという妄想を持つものが大きな口を叩いたり、私自身かなり厭世観にさいなまれますが、お客さまのご期待も小さくありませんし、できる限り、健康に留意して今年も良い仕事に努めたいと思うものです。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.taizou.jp/mt/mt-tb.cgi/1673

コメントする

月別 アーカイブ