本格派のキモノの発信

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早くも五月となりました。

風薫る五月まさに京都は新緑も美しく、私の好きな季節です。

東京では日本橋コレドで東京キモノショーと名付けて、いわゆる現代のキモノのイベントが開催されています、秋に行われるキモノサローネのメンバーとかぶっているようです。

こうした催しは悪いことではありませんが、これから本当にキモノを買おうと思っておられる方は、こう言うのより、本格的な伝統的なかつ上品なキモノが欲しいのであって、インクジェットの安物を買おうという人とは考えが違います。

茶道や華道、香道、あるいは日本舞踊や伝統音楽などの伝統文化を嗜もうという人は、買って後悔のないキモノや帯を探されています。

過日の梅垣さんの作品展でも、私の解説があると言うこともあるでしょうが、好評でしたし、梅垣さんの作品の質の高さや、センスを改めてご認識頂いたと思います。

デパートで老舗と称している織屋よりはるかにモノはよく、価格もお値打ちですし、そのことを理解されます。

梅垣さんも小さな織屋さんですが、だからこそこだわった上質なモノづくりを徹底されますし、それは当社も同じです。

サラリーマンがモノづくりをするところとはこの時代根本的に精神が違います。
そういうところはすぐに儲けることばかりが頭にあって、材料の質もかつてよりはるかに悪いしセンスも以前ほどではありません。

モノづくりする社員がかつてのことを知らなくなっているので、何が本物か何が真の高級品かわからなくなりつつあり、変えてはいけないことと変えるべきことの差が分からないようです。第一知識がありません。一言で言えば極端な勉強不足です。
また同様に教養もなく知識もないものでは売る方も上物とは何かが分かりません。

近年そういう傾向がますます顕著となって、消費者はどこで何を買っていいのかということで、大変迷われます。たまたま私の店を探された方は、どうしてこうした上品なものが他にないのですかとよく聞かれますが、結局業者側の不勉強と、買おうというお客様の背景や心理が分からなくなっているようです。

今月当店では今河織物さんの作品展を開催しますが、さんざんお召しを買って着ている私が本物と認めるのですから品質、センスともに間違いありません。

買おうという方々は、こうした売り手の経験や知識を頼りにされているのですから、伝統的な本格派のキモノを買ったこともない、その知識のない者では真の高級品を売ることもできません。
とうことは作れなくなるということになります。

作り手も売り手もかつては自分自身にお金をかけていたものですが、そういう存在が見当たらず、茶道も知らず能も見たことのないものが作ったり売ったりするのでは、結局情けない低級なものを扱うことになるのです。
つまらない仕掛けばかりが先行して、浴衣の出来損ないのようなキモノを高く売りつけることばかり腐心している情けない状態です。

自分自身の人間の価値以上のモノづくりは出来ません。

今上質なものづくりはいつも申し上げる通り危機的状況となって来ていますし、是非本格的なキモノの情報発信に、心ある人たちが協力して取り組むべきなのです。

そうしたものを扱う特に都市部の問屋も考え方を改めて、消費者を対象に情報を発信していただきたいと心から願うものです。

インクジェットや機械染めのペラペラだけがキモノだなどと思われたら、そんなものしか売っていないのだと思われたら、リサイクルばかり買われてしまいます。

売れない売れないとぼやくのではなく、商いの本質に立ち返り、真にお客様にとって損ののない、後悔しないものをお納めしたいものです。

特に次世代の人たちにそのことをお伝えしたいのです。

伝統と革新という言葉を誤解し、過去のものを破壊して新しいものという風に錯覚している人がいますが、それは先人の紡いだ文化の価値を知らないものに多く。おためごかしににそう言っているだけのことです。

まずは過去のものを勉強するところから革新のヒントが見つかると思うのです。

だんだん遺言めいてきますが、自分たちが真のキモノ文化を伝えるのだという気概を持っていただきたい、その一言です。


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