キモノ業界はどうなるの

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最近時々業界の人からもそれ以外の人たちからもキモノ業界はどうなると思いますかなどと聞かれます。

現在のキモノ業界の末端需要はたった3000億円あるかないかと言われています。
ただキモノの販売は無店舗で販売している人も少なくないし、小規模の専門店などは統計に表れませんので実態はよく分かりませんが、少なくとも大企業一社の売上げに遠く及ばず、今や物販業全体で見ても最低レベルにあることは間違いないと思われます。

最近伸びているのはレンタルと古着市場だけで、従来のキモノや帯の販売は落ちtづけています。

今年になっても一段と小売市場が縮小している気配がありますし、特に近年の売り上げの大きな部分を占めていたナショナルチェーン店(NC)の売り上げが急速に落ち始めているようで、店舗数一位を誇っていたところもかなり大きな赤字がずっと続いており、リストラに次ぐリストラで、会社まで売り飛ばされてそれでもまだ大きな赤字が止まりません、まあこのままなら倒産へ一直線ですので、近い将来抜本的な業態転換が図られ、呉服販売からレンタル店などに変わっていくかも知れません。

これは単に景気がどうのこうのというより、長きにわたって消費者目線の無いひどい売り方をしていた報いが来たという現実もあるので、とんでもなくひどいこの会社自身の問題かもしれませんが、総じて他のNCも相当に売り上げが落ちているのは事実です。

今までキモノ初心者をだまし続けてとんでもなくセンスの悪い、かつ低品質な物を高く売りつけてきた、特に店外催事の詐欺的販売方法がだんだん効かなくなってきたということです。
細かく言い出すと切りが無いので詳細は控えますが、本当に情けなく、私自身業界人として恥ずかしく申し訳ない思いをしているのは事実です。

そうした業者への情けない売り方を推奨してきた大手問屋の罪は重く、当然ですがそれらの業者の売り上げも急速に下がっていて倒産への道をまっしぐらにたどっているところも間違いなくあります。

でもいつも申し上げますが、大半の専門店はみんなまじめに、かつ誇りを持って商っているわけですから、そういうところに初心者が行って欲しいのですが、これもまたいつも言うように情報発信力が低くて、そういうところにたどり着かず、結局そういうところは既存のお客ばかりで商うこととなって、お客様の高齢化も進んで、売上は自然に落ちていきます。

当然ですが生産側も景色が変わってきて、レンタル向け商品の生産は一部の商品の機械染め、インクジェット染色ともに好調ですが、過当競争もあって生産者としてあまり利益が出ていないということも言われてます。

従来からの製法は細る一方で、特に手描き友禅の特に高度な技を駆使する本物の上物の生産はあまりにも少なく、そうした物を手がけるところも数えるほどしかなく、同業者もほとんど姿を消してしまいました。

職人さんの高齢化、後継者不足、発注量の激減もあって、今後も業者の、職人さんの廃業がドンドン増えていくでしょうし、分業による友禅製作工程の中で大切な蒸し、水洗の業者もすでに10軒もないような中で、かなり近い将来重大な生産上の危機が訪れるのではないかと言われています。これは西陣でも同じです。

売り手の専門店も水面下では廃業が続いていますし、後継者のない店も多く、売り手もいなくなっていきます。

しかしキモノを着るという人口は増えていますから、キモノという文化が消滅することはなく、これからキモノを良く買ってきた世代の死亡が増えるにつれ、それを相続して着る人も増えていくでしょう。

貸衣装屋と古着屋がこれからのキモノ業界の主流となるような気もします。
ようするに過去の業界の形態が大きく変わろうとしているのは間違いありません。

作る方は今の業界の安物志向もあって、質はどんどん落ちていき、いずれかつて生産できた物は確実になくなり、再生産も不可能となる時が来るでしょう。

私は有り難いことに今日の今日まで良い仕事をし続けることが出来ましたが、私自身の年齢の問題もあり、かなり近い将来生産が出来なくなります。

現在銀座にあるキモノはまさにお宝的存在となってきました。

楽しく、気持ちよく、良い物を作る環境が再び戻ることが、今の日本文化も知らない政治家を見るにつけ決して無いだろうということが悲しいのです。

私もすでに過去の人となってきましたし、今までやってきたことへの後悔はありませんし、多くの方に感謝を申し上げたい思いです。

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