きものサミット

カテゴリー:

地元の京都新聞に「きものサミット」の開催のことと、それに関連してキモノ業界の3人の人にインタビューした記事が載っていました。

きものサミットは稲盛さんの提唱で始まったことで、各産地や問屋、小売屋などの団体の長などが一堂に介して、キモノ文化を取り巻く諸問題について話し合おうということで1997年に始まったと聞いています。

私自身は組合活動もしていませんし、ひたすら父からの遺業を続けること、そのこと自身がきもの文化の維持継承に貢献できるという信念で頑張ってきたつもりです。

きものサミットはこの9月に第16回目が久しぶりに京都で開催されることになっているようです。

しかし過去15回話し合いをしていったい何が変ったでしょうか。

私には良く分かりませんが、少なくとも産地状況は一段と厳しく、職人さんの高齢化は進むばかりで、企業も人も次々と減って行きます。

友禅や帯の生産が最盛期の2~3%等という状況では後継者の育成どころではありませんし、仕事も一向増えるどころか減る一方で、レンタル衣装向けのポリエステルも含めた安価な粗悪なモノの生産ばかりが全体の6割以上ともなっており、まさに本物の生産の危機です。
と言うこともずっと私は唱えていたのですが、いよいよ現実の物となりつつ有り、材料の劣化なども顕在化し始めています。

なぜ全国から業者が集まって話し合っても、何も解決できるどころか、衰退の一途となっているのか。

何か根本が間違っているのです。

私が製造小売り型経営を開拓して18年、社会環境も大きく変わり、人心にも大きな影響を与えているように思いますし、キモノを取り巻く種々の伝統文化の維持継承も大きな問題となって参りました。

ただ近年、子育てを離れた主婦、あるいは社会で活躍する女性たちが、歌舞伎鑑賞など日本伝統文化に触れることで、忙しい日々から解放されたり心の平安を保ちたいと思われている方も少なくありません。そしてその延長上にキモノを着てそうした文化を目出度いと思われ、キモノを現実に着る人は東京では確実に増えていることを感じます。

当初は嫁入りで持たされたキモノや、母や祖母や頂いたもの、そしてリサイクルなどでお召しになって見て、だんだん慣れてくると、やはり自分のキモノが欲しくなってくるのは当然です。
近年はかなりの可処分所得を持った社会で活躍する女性も都市部では多く、キモノを買う気でまずは、デパートなどに行かれるのですが、彼女たちが求めるモノがほとんど理解できない販売員ばかりですし、特選にいる連中はとりあえず金を持っている人を如何にたぶらかすかばかりで、100万円以上のキモノや帯を求めない人には知らん顔している屑ばかりです。
今時キモノを買いたいと思う人達は共通して、あまり重い柄の凄いモノは要らない、かといって、安物ではなくて、上質で上品で飽きの来ないあっさりした柄行きのモノで、基本は伝統的な文様などを使った奇を衒わないキモノを求められているのです。

紋を一つ入れておいてちょっとしたお祝い事にも着られる様な、用途の広いもの、と言うことですから、付け下げや訪問着の軽めのものと言うことになるわけですが、いざ探されると意外とありそうでないのです。

デパートに行かれてもそうしたセンスを訴えていませんし、やたらごちゃごちゃしていて値段が高いものが多いというのは本当です。

安いモノは生地も悪く仕事も低級です。

本友禅で仕立て上がって50万円前後ならその方たちはすぐにでもお買いになれる所得はお持ちのように見えます。

金額もそうですが、売り手のセンス、知識なども当然重要なファクターで、学識のある女性が買いに行かれて満足されるような受け答えの出来るような販売員も、またほとんどいないと言うことですから、買いたいけれど買いたいものがないというまことにもったいない状況だと私は思ってます。

さんざんネットで探されて当店に来られた方は、私が近年提案してきたキモノがまさにそういう女性たちの望むモノですので、今回でも初めて来られて私をご信頼いただいてそうしたモノを中心にお買い上げ頂いております。

キモノを着る人が増えてきた、買いたいと思う人も増えてきた、にもかかわらずそうした人達が望むモノがない、安心して買える店がないという、消費者目線のない、すなわち不勉強は甚だしく、まさにもったいないの一言です。

キモノは高いから売れないなどと言う人がこの業界でも多いですし、10万円以下のポリエステルのキモノなどで裾野を広げよう、キモノのアパレル化などと呆れたことを広言している男も居ますが、まさに女心が分かっていないのと、茶道も含めた日本文化の素養が全くなく自分の普段の商いが低レベルなので、今申し上げた女性たちの声が聞こえないのです。
自らの文化力を鍛えておかないと、そういう声がアンテナに掛かりません。

産地状況を救うためには変に安物を作るのではなく、良質なリーズナブルな価格の本物を作ること、売ることだと私は耳にたこができる程申し上げているのですがね。

今度のきものサミットの主要議題が、商慣行の是正だとか成人が18才になったときに、成人式をどうするかとか、まったく根本的な問題を話し合うともしません。

口では大きなことを言う男、正論を吐く男も居ますがそうじて言行不一致です。

こんなことで時間を潰さないで、正義のある商いを自ら目指すこと、それに尽きるのです。
売れないのは景気が悪いだとか人のせいにしないで、店主自らが一生懸命働くところしか生き残れないでしょうね。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.taizou.jp/mt/mt-tb.cgi/1753

コメントする

月別 アーカイブ