年末にあたり

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27日で2018年の営業は実質終了いたしました。

今年は諸般の事情(主に健康上の問題ですが)により7月末の閉店を予告させて頂いて、2月から閉店セールに入り、閉店日まで数多くのお客様においで頂き、新規のお客様も多く、本当に有り難く改めて心より御礼申しあげます。

ただ小さな店、会社の処理能力を超えた受注が入ったので、納品まで尋常ではないお日にちを頂いており、まことに申し訳なく改めて深謝申し上げます。

明年には正常な体制に戻すつもりですが閉店後も色々御注文を頂いており、仕立てが大変混み合っていると言う状況が続いておりますので、いましばらくご猶予ください。

今年は私的には延焼して使用不可能となった自宅を取り壊し、建築し直すという、労力とお金も使い、銀座の店は閉店でスケルトンにして返すということで、まさに今年はスクラップアンドビルドと言う年でした。
当初店の方は居抜きで借りたいというところがあったのですが間際になって経営難、資金難で急にキャンセルするという非礼な事態で、当初目論んでいたその店を使っての時々の催事は不可能となり、如何にして今までのお客様との接点を作るかと言うことが閉店後の課題でした。

その結果以前の店のすぐそばの銀座東武ホテルの地下のタブローという部屋で、ミニ催事のようなことを、2,3ヶ月に1度くらい開催し、色々なご注文をお聞きしたり、新しいものなどをご提案させていただくことになりました。
「泰三の会」という形ですでに9月、11月と開催しましたが、いまだに新しいお客様がお見えになるので驚いております。

既存店の発信不足、モノ不足、人材不足ということなのでしょうが、キモノを買いたいのに何処に行って良いのか分からないという消費者がとても多く、通称キモノ難民というそうですが非常に情けない状況です。

ろくでもない店にはいると、下品な店員が寄ってたかってキモノを巻き付け、お似合いです、良いお色目です、お値打ちです、ローンで月々いくらですなどと言うような目に遭い現実に好きでもないモノを買わされたりすると、呉服屋がすべてそうであるがごとくに思われたりして、嫌な目に遭えば合うほどもう買わなくなってしまいます。
また着付けの全国チェーン店は実は小売りチェーン店で、とんでもない掛け率で、初心者に売りつけようとします。

こうした売り方をするような店が枚挙に暇無くあるのも京都室町の思想無き低レベルな問屋がそういう商いを仕掛けるからです。

信念理念も学識も教養も無い、もっとも駄目なのはキモノへの愛がないような輩が何でもありで売りつけるというような流通環境では良い小売屋も育たず、良い物もつくれません。

今年はきものサミットなる集まりがあったそうですが、商慣習を改善しましょうなどと聞くに恥ずかしい議題を掲げ、それに対する提言をするだけで何の実効性もなく、単なるアドバルーンを上げただけでおしまいです。

綺麗事は誰でも言えますが、それを如何に実現させるかと言うことが問題で、ふざけた取引をするところはどんどん公正取引委員会に訴えるとか、消費者庁にどんどん実態をあからさまにするとか、強硬手段を執らないかぎり、悪習慣が改善されるなどあり得ないのです。
ずるい取引をして生き延びたなどと言うところは私の経験からいえば100%ありません。最後は金を隠し込んで倒産します。そして真面目な卸先がひどい目に遭うという構図です。

買い取りをしない、買いもしないくせに文句ばかり付ける、オール委託なのにそのうえ問屋やメーカーに売りに来させる、とんでもない掛け率を要求する、売れてから値切る、金もろくに払わない、こんな店は私の若い頃はあるにはありましたが結局すべて倒産です。

デパートでも偉そうなことを言ってもすべての経費を問屋に持たせますし、平気で値引きをしてそれもまた問屋に負担させる始末ですから、買い取りほぼゼロの状態なので、問屋も仕方なく高い値で出品します。勉強もしていない何も知らないデパートのサラリーマン風情が問屋に偉そうな口をたたくなどもっての他です。MもTも以前はもっと気骨ある商いをしていたものですが、今では人材レベルががた落ちで、人にお勧めできません。

売り先がどんどん減っていると言ってもこんな店と取引をすることは自らの首を絞めます。こういう店を排除して真面目な店が栄えるようにするべきです。

作り手が元気でなければ流通業者も食えません。作り手に利があるような商いをしなければならないのにやたらに値切りまくるような問屋の話を聞くたびに暗澹たる思いです。

すべてではありませんが、作り手が嫌気がさして辞めてしまうなどと言うことのないよう真面目な問屋が、ろくでもない連中を糾弾するべきです。

残念ながら京都の卸の組合にそういう輩が山ほどいますから自浄作用が生まれません。

ではどうすれば良いかというと、メーカーが卸先を選別すればいいのです。

そのためにネット環境を駆使して、HPはもちろんSNSなども活用して、自らの作るものの情報を消費者に訴えることが先決です。

会社の名前か製品の名前かどちらでも良いですが、ブランド化して消費者に知ってもらことです。
写真などで製品情報を出していると、そのうち消費者がそれを見て見たいと問い合わせをしてくるようになりますので、その時に最も消費者にとっても作り手にとっても最適な流通業者を指名すれば良いのです。

これほど生産が減っているのですから、メーカーが流通を支配することが出来るはずです。いわゆるBto C の商いを視野に入れて、消費者に近いところにいるべきです。

同じキモノや帯が店によってとんでもなく違うなどと言うことは本来あってはならないのですが、キモノ業界では流通によって違ってきますなどと平気で嘯いている始末です。
まさに消費者目線ゼロの屑業界に成り果てているのですが、この問題はメーカーにも責任があります。

希望小売価格を本来設定するべきですが、仮におおっぴらに出来ないとしても、余りにひどい掛け率の値を付けるような所には流れないようにしなければなりません。

そういうマーケットリサーチをメーカーが怠ってきたからこういう事態を生んだのです。

私は昔から毎月主要な東京の取引先に出かけ、社長だけでなく社員などからもどれほどの当社製品在庫を持っているかを類推し、多いと思ったら売り控えをして出荷制限をするようにしていました。
また地方問屋などを通じてデパートにも流れていたので、価格調査もしましたし、そこの売り場の社員とも顔見知りになって色々な情報を得ていたものです。

そうした努力の結果、泰三のキモノは同じ物は二つと無いのに、どの店もある一定の値幅の中で販売していました。つまり相場を作り上げたので、どの販売店も安心して売っていたと言うことです。価格を安定させることは売り手にとってもメリットがあるのですが、それが今の連中には分からないのでしょう。欲ばかりかいてとんでもない値で消費者を欺くなど神をも恐れぬ所業です。

市場価格安定のためにメーカーはもっと毅然として商うべきですし、市場調査を怠ってはなりません。

今日は今年最後の投稿という思いで長々と書いてしまいましたが、作り手を救えるのは誠実な売り手です。上質でセンスの良い物をリーズナブルに販売することできもの難民の悩みを解消し、需要拡大が出来れば物作りに参入してくる若手もまた増えていくかも知れません。

流通を改善し、消費者がその最大のメリットを享受できるように努めたところが残っていくでしょうが、生産システムを守るためにはわずかな所だけが残っても不可能ですし、出来るだけ多くの業者に残って貰えるよう、勇気ある決断が求められているのです。

地方にも真面目に頑張っている専門店も少なくないのですが、発信力が不足しているがためにチェーン店などにごそっと網を打つように初心者をかっさらわれ、その結果ろくでもないものをとんでもない値で買わされてローン組まされてもう買わなくなるという最悪のパターンを繰り返してきました。

流石に最近はこうしたチェーン店の店外催事がとんでもない売り方だと言うことに気が付く人も多く、売り上げがどんどん落ち始めています。

キモノが景気が悪いから売れないなどと言っていますが、そうではなくろくでもない売り方をしてきたから売れなくしてきたのです。

店員に散り囲まれるのならおよそリサイクル店に行った方が気楽だ等と言われている始末です。
小売屋ももっとメーカーに近いところにいるべきで、大手問屋に何もかもお任せ等というのは最悪です。
もっと足を使って豆に真面目な作り手を探し、直接取引するか出来るだけ少ない通り口銭で仕入れられるように努力するのは当然です。

楽な商売などありません。苦労して苦労してやっと花が咲きます。

もっと勉強して問屋の持ちかけるろくでもない取引を排除し、お客様のためにまっとうな商いを実践することに尽きるのです。

そして応分のリスクは張らなければなりません。リスク無きところに繁栄もありません。

初心に返り当たり前のことが当たり前に出来るまっとうな商いに戻さないかぎり、この業界は崩壊、消滅に向かいます。

来年は私も70歳ですが、物の分かったベテランが次々現場を去り、職人さんも高齢化で廃業する者がもっともっと増えます。

景気動向もありますが来年は消費税も上がりますし、まさに正念場です。

真面目の道に花が咲くような産業に早く戻さないとこの仕事に次に従事する人がいなくなります。
人を大切にしてキモノに愛を持って、商って欲しいのです。

安ければ売れるなどと言う錯覚を持った連中が誤ったマーケティングを唱えるので、益々売れなくなります。真に良いキモノを見たこともない安物志向の連中では業界は救えません。背景の伝統文化なども勉強して、真にキモノが好きで仕事して欲しいですし、特に売り手は消費者に教えて行かなければならないのですから当然でしょう。

これから先のことを考えると産地の状況からして物作りは相当な危機的状況ですが、ある意味それが分かっていてあきらめの境地で同じことを同じようにして、益々自分たちの頸を閉めると言うことの繰り返しです。

才ある者は色々工夫して次に生きる道を模索していますが、物作りが分業しているだけに自分1人で生きていける物では無く、やはり産地としての全体の活性化を図るために知恵を出しリスクを張って、行政の力なども得て、何とか物作りのシステムを維持できるようにしなければならず、次の世代に人達の苦労は並大抵ではないでしょうし、私も微力で何も出来ませんが、来年以降も仕事を辞めないで、お客様に愛でていただけるキモノをこつこつ作っていくことが世のためになるのかと思いますし、健康に留意しながらこれからも現役でいたいと思っている次第です。

耳の痛いことを言える人も殆どいなくなりましたし、嫌がられても真にキモノを好きになってもらいたちと思う消費者のためにも、これからも警鐘を打ち続けていこうと思う次第です。
キモノのことも含めこれからも何でもご相談ください。

本当に今年は数多くの方から格別なお心遣いを賜りまことに有り難く感謝に堪えません。明年からも何卒倍旧のご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げ年末のご挨拶に代えさせて頂きます。どうか良いお年をお迎えください。

尚明年は2月2日(土)、3日(日)に銀座東武ホテルにて「第3回泰三の会」を開催いたします。共に12時から18時までの開催ですがご来場の際はご予約頂けると幸いです。

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