文様の使い方

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我々きものを製作するときに、まず何を作るかと言うことを決めるのは当然です。

それによってどんな柄、どんな文様を使うかを決めるわけですが、ジャンルで言うと大きく分けて晴れの席に着ていくキモノか、普段着なのかということで大きく変わります。

泰三のキモノはどちらかというと晴れの席にお召し頂くキモノが主ですので、使う文様もいわゆる吉祥文様を使います。ですからその文様の持つ意味なども勉強しておく必要があるのは当然ですし、お客様にその持つ意味を正しくお教えできなければならないと私は思っています。

野に咲く花を写生的に描いたようなモノはそれなりの季節感があってしかるべきなので、同じ花でもフォーマルに使われるものと、いわゆる洒落者に使われるものとは多少違います。

例えば日本を代表する花として菊がありますが、天皇家の家紋が菊であると言うことからか、国の花としても指定されています。

これを我々は代表的な吉祥文様の1つとして晴れ着にはよく使います。菊は秋の花ではないかと言うことをお尋ねになる方がおられますが、目出度い席で着るキモノの文様として紋菊という形で使われるときは、年中構いません。
ただ写生的な模様として菊を描いているとき、そういう類いのキモノの場合はやはり秋の風情を感じさせる季節のものとして考えます。

そういう意味では例えば梅の柄というのも、松竹梅、つまり歳寒三友の1つという吉祥文様として、フォーマルのきものに使われている場合は秋でもお召しになって構わないのですが、菊ほど周知されていないので、やはり1月から3月くらいに着ると思われている方が多いようです。

余談ですが桜は菊と同様国の花として指定はされていますが、決して吉祥文様でも何でも無く、あくまで春の一時期に、季節感を表す文様として使われます。ところが時々秋でも冬でも桜のキモノを着ている人を見かけて唖然としますが、キモノを知りもしないで物を売るようなNCの勉強などしたこともないような社員が、国の花だから1年中着られるなどというのでしょうね。情けない話です。

私の若い頃は桜の柄のキモノは目出度い席で着てはいけないと言われたモノです。
それはかつて日本人は桜が咲くと言うより、散ると言うことにもののあわれを覚え愛でていたのです。
ところが最近は桜の咲く様ばかりをはやし立てるので、文様の解釈が変ってしまったということでしょう。

他にもそういうモノがあるのですが、日本の社会常識の変化でこうした伝統的な柄や文様にも解釈上の変化が見られるというのは事実です。

物作りをするモノはこうしたことを勉強した上でデザインするなりお客様にお勧めして欲しいのですが、正倉院文様も知らないような輩がキモノデザイナーなどと称している昨今、本当にキモノ業界も地に落ちたモノだと暗澹たる思いでいるのは確かです。

基本をきっちり勉強してから、色々と今風に変えていくということで有ってほしいものですね。

ただ最近フォーマルのキモノの生産が激減しているだけに、吉祥文様などを勉強もしたことがない輩が感性だけでもの作りをしていくと言うことが横行していくだろうと予想され残念な思いでいます。
願わくば晴れの席で良いキモノを着る人がもっと増えて行けば少し風向きが変るのではないかと期待しますがね。


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売り場によくいる着付け師も、桜は日本の花だから一年中云々、異口同音します。着付けの教科書にでも書いてあるのでしょうか。色無地に必ず紋を付けるというと驚かれ、逆にビックリします。
そんな人たちが、一部で報道された【きもの警察】として、若い人たちをこき下ろすので、余計にきもの離れするのではないでしょうか。
売り手の品性も低下している気がします。数年来お付き合いのあるお店も、このところ若い店員に胡座で接客されるようになりました。露店か何かでしょうか。もうダメですね。

ただただ呆れ嘆くばかりのこの頃です。
どこにも雇ってもらえないような輩がこの業界に入ってくるようになって久しいですし、
着付けの派遣の女性の教養のなさにも唖然とします。
まあ上の連中も知らないままというところも多いでしょうし、あまりにも流通業者の質が落ちたことに悲しい思いもしますが、多分もう今更どうすることもできないでしょう。
消費者が自ら勉強して、真面目な店を探すことと、騙されないようにするということでしょうか。作り手も教養がなく皆様に申し訳ない思いでいっぱいです。

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