あと3年?

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毎年4月の初めに京都で開催される業者間向きの展示会というのは、今では年間で一番大事な会となっていて、かつては専門店も全国から仕入れに京都に押しかけたもので、その晩には問屋の接待で市内のあちこちに呉服業界の嬌声が聞こえた物です。
ところが今年は過去最悪というほど専門店が来ていないし、来ても殆ど買わないという状態だったようです。

仕入れをしないでどうして商えるのかと言うことですが、本来専門店は仕入れた物を店の中で売るのが当り前で、店外でたまに催事をすることもありましたが、基本は店売りでした。
自分の好みで仕入れた物を売るというセレクトショップが本来の姿で、コツコツ小じんまりでもそうした商いをされている専門店も今でも無いわけではないのですが、

近年はすべて委託の商品で店外の催事で売上げを作るという商いが常態化して、問屋が手を変え、品を変え、色々な企画を提案して来ました。
中には色々なサービスを付ける販売会も多く海外旅行や温泉旅行付きだとか、歌舞伎観劇券のプレゼントなどをつけていますが、実は殆どすべて売価に上乗せしているので、消費者は自分で払っているのです。
ですからどうしても高額になるので、それをローンを組ませたり、強引な販売手法に消費者庁からも警告も受けているのですが、何処吹く風です。

質の悪いところが改めることもなく、そんなところに卸す問屋も同様で、自浄能力など元々何もない業界です。

ところが消費者もだんだん分かってくると、そういう胡散臭い店外催事に行かなくなります。そういう展示会は問屋が派遣したキモノを着た女性が売るケースが多いのですが、これがまた中にはとんでもない者がいて、知ったかぶりであきれ果てたことを言ったりしますので消費者の方が引いてしまいます。

昨年秋くらいからそうした店外催事の集客力が急激に落ち始め、年を開けても益々落ち込んでいくようで、問屋に物を貸しているメーカーも頭を抱えています。

確かに景気は減速し、すでにオリンピックバブルが弾けたと言う人もいます。
当然先行きに不安を覆えるので、買い控えが浸透しているという背景が大きいのかも知れませんが、専門店に買わせないで店外催事ばかり仕掛けてきた問屋に元凶があり、ある意味自業自得だと私は思っています。

商品リスクを負わない商いで寝れきった小売店は今更店内在庫の充実のために買うことはないでしょうし、店内在庫を問屋が貸すというのも最も嫌がるでしょう。

デパートなども売り場の商品はほぼ全量借りているので、取引している問屋はその面づを見るのが大変で、有名老舗問屋もあちこちの仲間問屋から借りまくっているというのが現状です。
それでは良い物が集まるわけもなく、結局売上げづくりのために外商を動かした店外催事に頼らざるをえないというのが現実です。ですから何時も同じような客に案内状が行くので、流石にお客が買い渋ると、何と最近は2割くらい平気で値引きをしてしまいます。

かつてデパートはそうした値引きをしないというのが見識でしたが今や常態化しています。
その値引きの半分は問屋に持たせますから、問屋は当然それを見越して高い目で委託します。ですからどんどん値札が高くなるわけです。

消費者目線を無視した、売りたいがための身勝手な売り方に、長くこの業界にいるものとして、ただただ呆れ情けない思いをしています。マーケティングなどと口では言っても完全に間違っています。

本当はこんな業界から即刻足を洗いたいと言うのが本音ですが、逆にだからこそ私どもを頼りにされるお客様も少なくないということですので、まだまだ辞めるわけにはいかないと自覚しております。

しかしこうした状況が今後も続くと、商品リスクを長くメーカーが持たされてきましたので、相当に疲弊しており、しかも市況悪から、生産が一段と絞るので、売る方も安易に借りられ無くなるだけでなく、一番心配なのが高齢化している職人さんが、仕事がなくてこの辺で見切りを付けて廃業してしまう事です。

現にそういう話をこの間から良く聞きますし、こうした事が連鎖していくと、手描き友禅や西陣織の本物を作ると言うことが、どうかするとあと3年くらいで終わってしまうのですはないかと、作り手は大変な危機感を持っています。

そうはならないことを祈っていますが、材料の良い物が無くなって来たと言うことは本当ですし、このままならやはりそうした事態がそう遠くないうちに訪れるだろうというのは本当だと思います。

先日ある花街の春の踊りの会に行って来たのですが、総踊りの揃いのキモノは明らかにインクジェットプリンターで作られたものだと思いますが、現実の型物はすでに90%がインクジェットで生産されているので(そのため薄い生地でしか作れない)、今後益々手描き友禅の本物が姿を消していくことになります。

本当は買いたいと思っておられる方々に真面目な商いでお買い上げ頂くように努力していくしか道はないのだろうと思いますし、お客様のお声がかかる間は努力をいたしたいと思います。

本当はこんな話ブログで書いても何の意味もないように思うのですが 需要喚起のためには本当に話をお伝えした方が良いだろうと思うのです。

元号も代わりますし、日本人が日本人としての心を取り戻し、文化にもっと目覚めそれないに可処分所得のある方たちがキモノに目覚めて頂けることを心から願うこの頃です。

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