材料枯渇

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何度も申し上げているように、京友禅や西陣織の生産は底なし沼のように下がり続けていますし、その中でも良質な材料を使い、高度で精緻な技を駆使した本物のモノづくりは極端に減退し、職人さんの高齢化も相まって、この先の道が見えないのですが、もっと心配しなければならないのは、材料難です。

過日、手すき和紙の生産に無くてはならないトロロアオイの生産農家が一挙に5軒来年で作付けを止めるということらしく、つまりもう作らないということなのですが、本当にそうなると、なんと現在の生産の80%減ということになり、全国の手すき和紙業界にとって大打撃となります。

トロロアオイの生産は大変手間がかかるようで機械を使えないのだそうです。
生産者も高齢化していることもありますが、その労力に見合う収入を得られないということから、もうやってられないと、苦渋の選択をされたようです。

まさかそんなん自体が訪れると思ってもみなかったのでしょうがとりあえずは買い付け価格をもっと上げるということから交渉するとしても、生産者の高齢化という問題はいかんともしがたく、全国の和紙生産者が協同して知恵と金を出して生産維持に努めるしかありませんが、文化庁にも援助を願い出ているそうですが今のところなしのつぶてだそうです。文化庁の役人に文化力がないという笑えない現実の中で、歴史ある和紙の生産が無くなっていくなどありえない話で、超減産の中で影響をこうむる文化は数知れません。

こうした材料の枯渇は、色々な伝統産業で起こりつつある現実ですし、キモノも良い生地が無くなっていくとか、上質な金糸が無くなりつつあるなどすでにそうした現象が多岐にわたって出始めています。

また材料と同時に道具が無くなってきて、古くからあるものを使いまわししていますが、これも将来どうなるのか先が見えません。

文化庁はかなり以前に、今後なくなりそうな伝統産業で使う道具類を調査したことがありますが、信じられないほど多くの種類のものがあげられていました。

ただそれっきりで、だからどうするという知恵は文化庁からは出ません。
行政は言われたことしかできない体質ですし、先見力も想像力、創造力もないので変に乗り出してくると必ず失敗するのが落ちですから、やはり民間で知恵を出して、行政を自分たちがイニシアチブをとりながら巻き込んでいくのがベストでしょう。

ただ基本的に材料も道具も、安定した生産量が保証されないと、復活や維持継承は困難ですし、言い換えると市場での販売数量が増えないと、それどころではなくて減る一方なら早晩資産が止まってしまう材料も数知れません。

キモノなどその最たるもので、リサイクル着物ばかりが活況を呈していたら、いつか生産が終わっていくだろうと思いますが、三十年前くらいのものの方がはるかによくできているので、本物がリサイクル市場に流れればそちらの方がはるかにモノが良いという事態になりそうです。

でも世界有数の優れた文化とそれを支える最高レベルの技がありながら、最高のモノづくりができなくなるということに国が何も反応していないというのは尋常ならざることだと思いますがね。

いかに政官財の上に立つ者に美意識や教養がないかということにつきます。

若い時にどれほど見聞を広めて来たかという話でしょうが、今の教育体制では教養を高めるとは逆のことをしようとしていますし、世界の恥さらしです。
見識あるものが私的に色々伝えていくしかないでしょう。
個人的には若い人に期待し諦めないで日本の未来を信じたいと思っています。

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