黒染について 補足

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前回の投稿でやや舌足らずなところがあり、補足します。

お買いになった黒留袖の色落ちの話でしたが、黒留袖の染方には、引き染でも二つの方法があります。

1つは黒い色の染料をそのまま引くのですが、もう一つは三度黒といって、豆汁を引いた後に、
1度目はログウッドという植物の根から抽出した液を引きます。
2度目はヌワールナフトールという化学薬品を薄めたものを引きます。
3度目には重クロム酸カリウムの液を引くのです。
こうすることで植物性の染料が、徐々に酸化しながら発色し、むっくりとした黒色となります。
単に黒色の染料を引くよりも、染着度は高く、かつて京都で作る黒留袖は安物以外はほとんどこの三度黒で染められたのですが、都合4回も引くので、当然加工単価が高いわけで、ろくでもない流通業者が暴利をむさぼるために、加工賃が逆算されて、悉皆屋も安く作らざるを得なくなり、現在ではほとんどすべてブラックの一回染めということになってしまいました。
明治になって先人が、スペインの皮の染色方法からヒントを得たこの染め方もほとんど姿を消してしまい、そのことが前回投稿したような事態を引き起こす可能性が増したということは言えます。
特に黒留袖に撥水加工をすると、ある条件が重なることで色移りの危険性が存在するということが知られています。

それにしても物販業者としては、まずは謝ること、返品か、作りなおしをするということが当然でしょう。言い訳するなどもっての他です。

売り手の質が落ちることで、当然ながら作り手も影響を受けます。

知識があって美意識があり、センスが良く、向上心のある人が売り手にいれば、良い物が作れるのですが、今のデパートなどは問屋の派遣社員などに販売を任せているから、その人物が、いい加減なことを言ったりしたりすると、お客はそのデパートの社員だと思っているので、結局信用に瑕がつくことになります。

デパートはキモノを見たりするのは容易ですから、集客力もあるので、もっと自前のしっかりした人材を教育していけば、キモノへの興味を持つ人が増えている事実からすると、正しく商えば、一番伸びしろのある売り場になる可能性があると思いますがね。

そのためにももっとキモノと、キモノを取りまく伝統文化の勉強を怠りなくすることは耳にタコができるほど訴えたいものです。

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