歩引き

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盆明けから天候が不順で、夏物衣料の販売が不調です。

梅雨寒の後に急に酷暑が来て、と思ったら秋雨前線でまた梅雨のような天気が続いていますから、浴衣を着て遊びに行こうなどとなかなか思えませんね。

当然業界自体の雰囲気も暗く、厭世観が漂っています。

秋からの商戦に期待したいところですが、キモノ業界は構造的な問題を抱えているのであまり期待できないと思われます。

そもそもキモノを着たいという人が増えているにもかかわらず、購買が減少しているというのには、レンタル市場やリサイクル市場の台頭ということがあっても、業界自らが売れなくしているような商いをしてきたことに起因しているわけで、いわば自業自得です。

買いたいと思っている人がどの店に行けばいいのかなどと思われるのは、現実にとんでもない押し売りをしたり、知識の無い販売員が口から出まかせでとんでもないものを売りつけようとしたり、安心して買えるところがわからないという他の物販業界ではありえないようなことがまかり通ってきたからです。

全体でみれば真面目な店や業者の方が多いでしょうが、全国チェーン店などがそういう商いをしてきたことで業界に対する不信感は広まり、どこもそんなことをするように思われたりするのは心外です。

結局流通業の人材、人間性の劣化は著しく、戦後この業界で創業し頑張ってこられた先人たちは切歯扼腕の思いでおられることだろうと思います。

私も父の遺業を継承すべく作ることにも売ることにも苦労を重ねてきましたし、後ろ指をさされるようなことをしない、正義を貫くということに腐心してきたつもりですが、いつまで経っても不公正な商いがはびこり、業界人としてずっと嫌な思いをしております。

悪質な販売店をのさばらせてきたのは、そこを応援してきた問屋に大きな問題があるわけで、つまり流通のかなめの問屋の質の低下が今日の業界の苦境の根本の原因だろうと思います。

私も京都にいて、この業界に身を投じて半世紀近くになるので、そうした室町の問屋の主や番頭の言動を見てきましたが、創業者の人たちは個性豊かで、実際色々な人がいましたが、時代背景が良かったせいもありますが、総じて仕入れ先や職人さんなどにも思いやりや気遣いをされる人が多かったように思います。つまり親分なわけです。

ところが次の代、あるいはその次の次の代となって、果たして創業者の理念がどれほど
理解されているのか極めて疑問です。

仕入れ先を大事にすることが利は元にありの根本ですが、曲解した連中は正反対のことをします。

例えばいまだに支払い時に歩引きということをしているところがたくさんあるようなのですが、従来は手形取引がほとんどだったので、現金を早く欲しいところが頼んで少し値引きしてでも払ってもらえないかということから始まった習慣で、関西の繊維業者に多かったようです。

それがいつの間にか支払う側が勝手に歩引きと称する支払値引きをある一定の率ですることが常套化していて、意味が分かりません。相変わらず手形で支払いながら歩引きをするというのは、理屈に合わず、まあはっきり言って下請法違反ですし、訴えればそれなりのとがめはあるのですが、受け取る側もどうせ値引きされるのだからその分高く納めるということを当たり前のように享受しているので、そうした悪習慣が無くなりません。

結局仕入れコストがあがり、最終的には小売価格に転嫁されるわけです。

今年こうしたことを改めようという機運が盛り上がり。取引条件改善に勤めようと動きはあり、少しはましになったところもあるようですが、言い出しっぺの企業が相変わらず歩引きを敢行しているとのことで空いた口がふさがりません。

作り手は問屋がそれなりに役目をはたしていないので、問屋は小売店が同じように機能していないので、共に前へ前へ、つまり消費者に向かって行こうという動きが散見しますし、良いものをリーズナブルに販売するという意味では私はそうあっても良いと思いますし、私自身がそうしてきたわけです。

ただ小売りを本当にするならそれなりに勉強をしないといけませんが、派遣のおばさん任せのようなところは、続かないと思います。

自らの商品に自信がない、キモノという文化を理解していない、知識が無い、キモノを着る背景の伝統文化への造詣が全くないというようなところでは消費者に失礼です。

本当にやるなら命を懸ける気概が必要だと思います。

売れなければ作れないのですが、どうやって売っていくかということに関しては色々と変化していくのだろうと思います。だからこそ余計に一生懸命勉強して欲しいものだと老婆心ながらつくづく思うこの頃です。

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