年末に当たって

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今年も後数時間です。紅白を見ながら書いております。

紅白が源平合戦から来ていることを知る人も少なくなっているでしょうし、かつて明治は遠くなりにけりと言われましたが、最近は昭和は遠くなりにけりと言う思いを強く持ちます。

過去は忘れ去られていくこと自体は仕方がありませんが、キモノという文化には変えてはいけない決まり事も多く、先人が確立した常識を守らないと真にキモノという存在とは言えません。
ところが近年そういう常識を壊さないとキモノ文化は続かないという浅はかな教養のない輩がネットを活用してろくでもないもの作りをしたり、提案するものですから、一体この連中は何を次世代に伝えたいのか理解に苦しみます。
流通業者もまさに屑で、ろくでもないキモノや帯にとんでもない値をつけて半額にしますなどと言う、赤面するほど恥ずかしく品のない商いをさも当然のごとく仕掛けて来ます。

察するところ彼らはキモノを別に好きでもなく着たことも、買ったこともなく、ただただ売れという事なのでしょうし、本当は全員辞めて欲しい位の思いを持ちます。

消費者は良質なモノをリーズナブルな値で買えることを望んでいるのに、近年オール委託にもかかわらずメーカー出し値の10倍、20倍、30倍などというようなとんでもないような値をつけて半額にしますなどという開いた口が塞がらない様な恥知らずの、日本一程度の低い物販業界に成り下がりました。
勿論えり善さん初め真面目な商いに徹しておられるところは少なくないということは言い添えておきます。

私個人はキモノ業界が京都の基幹産業であったときにこの業界に身を投じて、これほどの惨状を見せつけられるのは慚愧に堪えません。

私も今年は古希ということで老兵は消え去るべきだとかつては思っていたのですが、茶道1つも語れない輩が偉そうにキモノ文化の未来を語るような事態を見るにつけそういう輩が真にキモノを文化として捉え、正しくこの文化を継承できるようになるまでは私はキモノ初心者のためにも辞めてはいけないのだろうと思うに至りました。

ところがこの2年あまり公私に渡る大きな変化に遭遇し、ストレスが蓄積したせいかもしれませんが、非常に質が良いけれど一応胃の早期癌で入院治療を強いられ、今年の後半は公私ともに中途半端で不完全燃焼ということでご迷惑をおかけして申し訳なく思っております。
家内も未破裂脳動脈瘤の処置のために開頭手術を敢行し、共にまだ完全復調とも言えず、東京でのミニ催事開催もままならず残念な思いでおります。

キモノ業界は特に秋以降の落ち込みが激しく、水面下で作り手も売り手も廃業がつづいています。
優れた技をもつ職人さんの高齢化と後継者不足に歯止めはかからず、手描き友禅の未来は限りなく心細く、行政も何の手も打てないままに推移しています。

インクジェットで作れるのならそれでもいいではないかという風潮に情けない思いです。消費者は決してそういうモノを求めている訳ではなく、いわゆる本物志向は強く、そういう物作りを続けていけるためにも、真の流通構造改革や、メーカーの希望小売価格設定などまだまだやれることはたくさんあります。

作り手、売り手、買い手がWIN、WINの関係でいられるよう、かつての江州商人が唱えた三方良しが実現できるようになれば、再興の望みはほんの少しだけ残っている様な気もします。

私もそのことの実現のためにもまだ完全隠居は出来ない心境ですし、体調回復すれば東京での泰三の会を再開させます。

私も家内も早期発見で、将来の大事を避けられたわけですし、これからも健康に留意しながら好きで続けてきたキモノの仕事や伝統文化の啓蒙啓発を続けて行きたいと考えておりますのでよろしくおつきあいの程お願い申し上げます。

私がいつまで仕事を出来るかはお客様の声にかかっておりますし、これからもなんなりとお申し付けください。

もうあと3時間ほどで令和2年を迎えます。どうぞ皆様良いお年をお迎えください。

                令和1年 12月31日 泰三   拝

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